幻工師ギリス の商品レビュー

菊地秀行【著】

2011/09/20

せつらもメフィストもいない新宿だけど、魅力は十分。

鷺尾とギリスの関係は、ファウストとメフィストか？
そう思ってみると、途端に「ノれる」。
タイトルになってる幻工師ギリスは、主役と言うよりむしろサポート主体で主役は鷺尾。
一人称視点も鷺尾のものだし。
「悪党」を描くといった割には、結婚詐欺師という、ラストまで読んでも悪い意味ではなく小悪党レベルな感じがするのは、鷺尾が屈託なく飄々としているせいか。
P13の挿絵を見るかぎり、アッテンボロー（＠銀英伝）レベルの美青年ではあるんだよね。

序盤はいまいちだったけど、中盤、完全に二人で契約関係を結んでからは、ギリスとの掛け合いが面白く、更に、最期までブレなかった鷺尾の身勝手さがいい方向に向いてて、なかなかのコンビではないかと。
せつら－メフィストコンビは、どちらも最強であるという一点において、活劇のコンビには向かないんだけど、鷺尾とギリスの関係なら、もっと活劇的展開を期待できる気がする。
ふたりとも体力ないんだけどさ。

今回はなんといっても、表紙絵が最高。
末弥氏の描く女性は理想型。千也子かわいい。
むしろ、ジャケ買いといっても差し支えないレベル。