「方言コスプレ」の時代 の商品レビュー
かつては方言をからかわれて自殺する人もいたこともある。しかし、今や方言はむしろ使うことで個性を引き立てる働きもある。いや、その方言の真の話し手でなくても、方言はその人を際だたせる働きをする。本書はこのような方言に対する人々の価値観の変遷を、アンケート調査によって調べただけでなく、...
かつては方言をからかわれて自殺する人もいたこともある。しかし、今や方言はむしろ使うことで個性を引き立てる働きもある。いや、その方言の真の話し手でなくても、方言はその人を際だたせる働きをする。本書はこのような方言に対する人々の価値観の変遷を、アンケート調査によって調べただけでなく、たとえば坂本龍馬の土佐弁がいつからテレビで用いられるようになったかを過去の映像を使って調べている。それによれば、かつては標準語でしゃべる龍馬もいたらしい。それが、土佐弁を使うようになるのは、司馬遼太郎の『龍馬が行く』の映画化(これは武田鉄矢の龍馬?)からで、本格的に使い出したのは、つい昨年放映された福山龍馬かららしい。ぼくは、最近(2011/10)高知に初めて行って、タクシーの運転手さんに聞いてみたが、福山の土佐弁は最初は聞いておれなかったが、だんだんうまくなったという。うまいのは武知半平太、吉田東洋役をやった役者さんたちだったという。その運転手さんの話では、昔は外からの客に対してはつとめて標準語でしゃべっていたが、最近は土佐弁を使う方が評判がいいらしく、つとめて使っているということだった。国立国語研究所の調査でも、首都圏で「しんどい」とか「なんでやねん」という関西弁がけっこう使われるようになっているという。面白い本だが、ちょっと深みに欠ける感じはする。
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