パーフェクト・ライフ(上) の商品レビュー

マイクスチュアート【著】,高澤真弓【訳】

2012/09/19

「パーフェクト・ライフ」
ある日精神科医の卵であるスコットはヒッチハイクをしている若い男女を車に乗せてあげる。しかしスコットはこの男女に愛車を奪われてしまう・・・。車を奪われ道に下ろされたスコットは自らでは抑えきれないほどの怒りを感じていた。そんなスコットの元にある男が現れ、彼は野宿をするという最悪の状態は免れた。男の厚遇により自宅に帰ることが出来たスコット。これで日常に帰れたはずだったが・・・。

「パーフェクト・ライフ」は読者をいきなり掴む要素をまずは前半文章に盛り込んでいます。しかしその後はじわじわスコットが巻き込まれる真相を展開していくことに注力しているように感じます。ゆっくりと真相が分かっていく進み方は私にはツボでした。

個人的には「誰が犯人なのか分からないように視点を変えて物語が進んでいく点」が好きです。「パーフェクト・ライフ」の登場人物は各々特徴的な部分を持っており、それが映える仕方の登場はスコットの味方なのか敵なのかを考える要素になります。しかしこの点があることで、より一層彼等の登場や個性は際立っており、だれがスコットの味方なのかより分からなくなります。そこがサスペンスに良い刺激を加えている気がします。

また、私にとってスコットの弟（ここではそうしておきます）が一番気になった存在です。この弟は今回重要な役割を果たし、個人的にはスコットに並ぶ主人公だと感じています。しかしこの弟には謎がたくさんあります。表向きは兄弟でありその要素が今回大きなパワーを発揮しました。しかし本当のところ「兄弟だから」で済むことだったのだろうか？

スコットの過去が大きく関わる「パーフェクト・ライフ」。しかしその過去が深く出てくる箇所はさほど強調されていません。なのでより一層スコット弟に気持ちが持っていかれます。この事件は彼で終わり実は彼で始まったのではないか・・・。そう感じています。なので私はこの「パーフェクト・ライフ」の終わった後が非常に気になります。スコット弟とそして事件真相の先は一体・・・。