歴史主義の成立(上) の商品レビュー
「さまざまの歴史的=人間的力を、一般化的にではなく個性化的に考察する」ことを核心とする歴史主義という考え方の成立過程を辿る研究。上巻では、シャフツベリ、ライプニッツ、アルノルト、ヴィーコとラフィトーといった先駆者たち、ヴォルテール、モンテスキューなどフランス啓蒙主義者たち、ヒュー...
「さまざまの歴史的=人間的力を、一般化的にではなく個性化的に考察する」ことを核心とする歴史主義という考え方の成立過程を辿る研究。上巻では、シャフツベリ、ライプニッツ、アルノルト、ヴィーコとラフィトーといった先駆者たち、ヴォルテール、モンテスキューなどフランス啓蒙主義者たち、ヒューム、ギボン、ロバートソンのイギリス啓蒙主義者たち、バークなどのイギリス前期ロマン派が論述対象となる。歴史主義の成立はドイツにおいて見られたというマイネッケのテーゼから予想される通り、上巻では、(トレルチに大いに影響された概念であるところの)ストア的キリスト教的自然法、実用主義的歴史観、全てを機械論的に説明しようとする啓蒙主義の歴史観と歴史主義的思考が各思想家においてどのように並存し、対立していたのかが詳しく論じられる。また、個性概念に並ぶ鍵概念となっているのが発展の概念であるが、これが啓蒙主義によく見られる完成の概念とどう違うのかという点についても、詳しい説明がなされる。
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