オペレーション・アカツキ の商品レビュー

大原省吾【著】

2015/04/18

「暁」作戦。沈みゆく帝国の軍人たちが、新生する祖国へ託した希望。中国大陸での戦争継続のため、南方から金塊を輸送する任務を巡る、マレンドック島守備隊、潜水艦伊ニ一一の戦い。
敗れるであろうこの戦争で、いずれ斃れる自分たちは日本の軍人として何ができるか、何をすべきなのか。潜水艦に載せて祖国へと運ぶのは、そんな彼らの想い。

マレンドック島の戦い自体はフィクションだが、彼らの抱いた想いと同じような気持ちでそれぞれの立場で戦った人々が軍人にも軍人以外にも実際に大勢いて、そんな想いが、戦後の廃墟のなかから日本を立ち上がらせたんだろう。その想いを忘れない限り、日本は、何度地にまみれようとも立ち上がる。

どんな暗い夜にも必ず夜明けが、暁のときが訪れる。

2014/10/14

2014年７月に「憂国のアカツキ」と改題文庫化。

敗戦を悟った者たちの、希望の作戦。
遺される国と家族とその未来のために、いつかくる暁に祈りを込めて。

オペレーションアカツキ。本当にあったのかもしれない。あのどうしようもない状況の中でも「国」のためよりも家族のためになにかを残したい、ときっと思ったんだろう。そう思うことが許されなかったとしても。きっと。