日本企業にいま大切なこと の商品レビュー
日本の産業界における「知識経営」の生みの親と呼ばれる一橋大学名誉教授の野中氏と、同じく経営学者で欧州最大の経営戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガー日本法人の会長を務める遠藤氏という豪華キャストのお二人による共著。日本がバブル後の「失われた20年」で低迷する一方で台頭...
日本の産業界における「知識経営」の生みの親と呼ばれる一橋大学名誉教授の野中氏と、同じく経営学者で欧州最大の経営戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガー日本法人の会長を務める遠藤氏という豪華キャストのお二人による共著。日本がバブル後の「失われた20年」で低迷する一方で台頭したのは「人よりもカネ、情緒より合理性」を優先するアメリカ型の新自由主義経済であり、アマゾン・グーグル・アップルなどのグローバル企業が世界を牛耳るまでになった。 だが今の日本企業に必要なのは、そのようなアメリカ方式に追随する事ではなく、逆に明治の昔からこの国に根ざした「情緒的な現実思考」を復活させる事にあると主張する。2011年の大震災に際して民主党政権がお粗末な対応を続ける中で、「共同体の善」を優先した誇り高き国民の「現場力」が素早く反応し、日本の国力が遺憾なく発揮されたと考察する。野中センセイが高名な学者らしく、コモングッド(普遍的な善)とかフロネシス(実践的な知)という取っ付きにくいカタカナ語を連発するのを受けて、遠藤氏がそれをフォローしつつ分かりやすく、しかも日本人の琴線に訴えるように解説してくれるという絶妙のコンビネーションが読み手に感動を与える傑作。
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タイトルを見てジャケ買い。 知識者の見解は、結局みんな同じところにつながっていくんだなぁと思った。 日本という国に必要なのは、中央からの上っ面の対策・発言ではなくて、現場で尽力する企業の力。 現場力の強い企業はずっと生き残っていける。 現場を大切にしない企業は、今はよくてもそのあ...
タイトルを見てジャケ買い。 知識者の見解は、結局みんな同じところにつながっていくんだなぁと思った。 日本という国に必要なのは、中央からの上っ面の対策・発言ではなくて、現場で尽力する企業の力。 現場力の強い企業はずっと生き残っていける。 現場を大切にしない企業は、今はよくてもそのあと残っていられるかはわからない。 震災では、中央の弱さと現場の強さが浮き彫りになった。 「たしかになぁ」と思うところが多く、読んでよかった。 けど、再読はしないだろうな。 今読むから、「たしかになぁ」と思うのだろうと思う。
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言わずと知れた著名人 日本人が当たり前と思っていることが、世界トップランクの競争力をもつ。そこに気づけるかなんだろう
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2人の著名な経営学者が思いの丈を語る、200ページの新書にはあまりにも濃すぎる内容だと感じました。現場を元気よく率いていくリーダーと、力を合わせて業務に取り組む従業員たち、という全員野球的な企業共同体のイメージ。
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こういう本って何かふーんって感じだし、読み終わったあとに有益だったと思わない。 日本の会社は効率を重視するアメリカの企業に影響されて、本来の日本のよさ、現場による力や共同体の善を重んじる考え方や価値観が薄れているという懸念はまぁわからなくもない。てかおれなんでこの本買ったんだろう...
こういう本って何かふーんって感じだし、読み終わったあとに有益だったと思わない。 日本の会社は効率を重視するアメリカの企業に影響されて、本来の日本のよさ、現場による力や共同体の善を重んじる考え方や価値観が薄れているという懸念はまぁわからなくもない。てかおれなんでこの本買ったんだろう(笑)それが一番の謎。
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現場の技術や知識の蓄積を外からのブラックボックスとして持っておかなければ、ノウハウはどんどん模倣され、流出する。 効率第一主義の偏重は、未来につながる活力が生まれる「あそび」や「むだ」も削ってしまった。 現状を変えるためには、現場や職場という「場」の結びつきを強め、そこに立脚した...
現場の技術や知識の蓄積を外からのブラックボックスとして持っておかなければ、ノウハウはどんどん模倣され、流出する。 効率第一主義の偏重は、未来につながる活力が生まれる「あそび」や「むだ」も削ってしまった。 現状を変えるためには、現場や職場という「場」の結びつきを強め、そこに立脚したマネジメントを行う必要がある。 そのことは、組織力や機動性、イノベーションなどを育むことにつながる。 過去の日本企業も、現代のイノベーターであるアップルも、現場の日常を非日常ぐらいに極めることでイノベーションを行ってきたという。 確かに、現代は日本企業に関わらず、理論および効率性に流され過ぎているのかもしれない。 グローバル化して目先や環境が変わった分、浮足立ってしまったかもしれないが、足元を見直し、組織の在り方を考え直す時に至ったのだと感じた。
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野中郁次郎と遠藤功という敬愛するお二方の共著なので期待大。そして震災後の日本を踏まえた内容だったこともありぐっと心に迫ります。まぁいわゆる対談というより雑誌連載における交換日記ののりだとは思うんだけど、考え方としてこのお二人は親しいんだろうね。野中先生も抽象的というより具体的な話...
野中郁次郎と遠藤功という敬愛するお二方の共著なので期待大。そして震災後の日本を踏まえた内容だったこともありぐっと心に迫ります。まぁいわゆる対談というより雑誌連載における交換日記ののりだとは思うんだけど、考え方としてこのお二人は親しいんだろうね。野中先生も抽象的というより具体的な話を好むし。このお二人にかぎらず、震災であろうと何であろうと前を向いて日本の強みを出し続けていくことが大事、というメッセージに心を打たれます。
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『失敗の本質』を記された野中郁次郎さんの名前が見えたので、購入。 やはり読みやすく、説得力のある書だった。 「日本企業」とあるので、ビジネス関連かと思ったけども、人の生き方や考え方という点で幅広く考えさせられる本だった。 震災後に出された現代の書で、様々な事例や引用を用いつつ、...
『失敗の本質』を記された野中郁次郎さんの名前が見えたので、購入。 やはり読みやすく、説得力のある書だった。 「日本企業」とあるので、ビジネス関連かと思ったけども、人の生き方や考え方という点で幅広く考えさせられる本だった。 震災後に出された現代の書で、様々な事例や引用を用いつつ、日本ならではの強みやあるべき姿など、励ましになる書だった。 企業がここにある提案をそのまま利用できるかはわからないけども、発想を転換させたり周りに流されずに気概を持って生きていく指南がなされている。 『ビジョンとは「旗」を掲げることです。自社が何をめざすか、自分たちの夢は何かを打ち出し、「旗」を立てることによって、組織は奮い立ちます。「旗」の下に人々は結集し、大きな力を発揮するのです。』 ---------------- 【内容(amazonより)】 「アメリカ型」はもはや古い! 不朽の名著『失敗の本質』で有名な世界的経営学者と、『見える化』を著したローランド・ベルガー日本法人会長が、日本逆転のシナリオを論じた往復対論。 情緒的、非効率、ガラパゴス……「だから世界では戦えない」と指弾された日本企業は、CSRにコンプライアンスと論理的・科学的経営を妄信してきた。ところがアップルやグーグルをはじめ世界に冠たるグローバル企業は、もはや「アメリカ型」に懐疑的。むしろ「共同体の善」「現場の暗黙知」といった日本の「当たり前」が注目されているのだ。 日本人自身が忘れた「日本の強み」を自覚せよ。「知識創造理論」を広めた世界的経営学者と「見える化」を唱えた現場主義の経営戦略家が、海外に売り込める日本の価値観を語り合う。 ---------------- 【目次】 序章 日本の経営者は「実践知のリーダー」である――野中郁次郎 第I部 成功している世界企業は「アメリカ型」ではない 第1章 リーマン・ショックと大震災で何が変わったか ・日本企業にはコモングッドの精神がもともと宿っている――野中郁次郎 ・いまこそ「エコノミック・アニマル」に立ち戻れ――遠藤 功 第2章 横文字思考の“毒” ・コンプライアンスや数字から知恵や勇気は生まれない――野中郁次郎 ・情緒的な国でどこが悪い――遠藤 功 第3章 傷ついた日本の「暗黙知」と「現場力」 ・イノベーションは平凡な日常からしか生まれない――野中郁次郎 ・愚直なまでに「質」を追求する現場を取り戻せ――遠藤 功 第II部 海外に売り込める日本の「強み」 第4章 ムダが多いはずの「総合力」が生きる時代 ・「ぶら下がり社員」を海外に送り込め――野中郁次郎 ・「ガラパゴス」こそ日本の「際立ち」の象徴――遠藤 功 第5章 世界に注目される共同体経営 ・日本企業の価値観にいまになって欧米が近づいてきた――野中郁次郎 ・モノや技術だけではなく「価値観」を売れ――遠藤 功 第6章 優秀な個を結集する「チーム力」 ・モノづくりに“身体性”を取り戻せ――野中郁次郎 ・「日本的なもの」を素直に誇れる20代を活用せよ――遠藤 功 第III部 スティーブ・ジョブズに学ぶ「日本型」リーダーシップ 第7章 意思決定のスピードをいかに上げるか ・社員をその気にさせる「大ボラ」を吹け――野中郁次郎 ・「職場」という単位に回帰せよ――遠藤 功 第8章 優秀なミドルをどう育てるか ・リーダーは自分の夢や失敗談を語れ――野中郁次郎 ・現場が元気な会社は「ノリ」がいい――遠藤 功 第9章 賢慮型リーダーの条件 ・「ディシジョン」ではなく「ジャッジメント」――野中郁次郎 ・危機に直面したときの行動で企業の品格は決まる――遠藤 功 終章 リーダーはつねに現場とともにあれ――遠藤 功
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東日本大震災のあとに書かれた本。 日本の企業が元気を取り戻すために必要なことが書かれている。 欧米のマネをすることが単純に正しいわけでなく、日本の独自性、国家としての強み(現場力とか)を活かせる方法をとなえています。 野中先生は、やはりいい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み終えた後、引用に使おうと、ページの端を折ったをみてみると、かなり多く印をつけていた。それだけ、この本がおもしろかったのだといえる。 震災後に出版されたこともあり、震災についても触れている。 最初は日本にはモノはつくれても、コトを起こす「イノベーション」を起こすことが苦手であるということに触れている。 日常を普遍化してとらえそこから必要性のあるものを生み出す、そういった能力が足りないと。 その次は、グローバル化より日本の強さを売り込め、というもの。世界に進出するために、世界に売り込んでいくためにグローバル化が行われたが、それも飽和状態といえる。ともなると、差別化を図るため、「強み」を示していく必要がある。 最後は企業のリーダーについて。最後が一番面白かったかな。リーダーは部下をその気にさせなければならない。「大丈夫か?」というのではなく「大丈夫だ!」と言ってやる。よくわかる話だ。 部下と仕事するとき、基本的に責任は自分がとる。そして、部下に指示を出しながら仕事をこなしていくのだが、そのなかでいくつかの作業を完全に部下へ任せる。部下にも考える(考えさせる)箇所を用意しておく。それは言われたことだけをこなすのではなく、自分で考えさせることもさることながら、それが自分の力で出来たことへの達成感を生み出すため。もちろん、途中途中のサポートはおしまない。 自分の目的の達成のためならば、他人をどんどん巻き込んでいくようははみ出しものの課長、というのは連想するひとがいなくもない。 そういった課長などは皆、トップがけしかしているからだ、と書かされているが、あのひともそうなのかな、と考えたりする。
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