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和歌史を学ぶ人のために の商品レビュー

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2023/01/18

古代の『万葉集』から、近代の与謝野鉄幹、正岡子規による歌壇変革の動きにいたるまでの歴史を、時代ごとに区分して解説している本です。また、「題詠」「女流歌人」「和漢」という三つのキーワードをめぐって、通史的な解説もなされています。 一般の読者によく知られている和歌といえば、古代から...

古代の『万葉集』から、近代の与謝野鉄幹、正岡子規による歌壇変革の動きにいたるまでの歴史を、時代ごとに区分して解説している本です。また、「題詠」「女流歌人」「和漢」という三つのキーワードをめぐって、通史的な解説もなされています。 一般の読者によく知られている和歌といえば、古代から中世にかけてのものが多く、その後は江戸時代の良寛などが親しまれている程度だと思われますが、本書では通史的な説明がなされており、南北朝時代の歌学の変遷や、江戸時代における堂上および地下歌壇の特色、古今伝授の変質などについての経緯を学ぶことができました。とくに近世の和歌については、いまだじゅうぶんに研究がなされていない状況のようですが、近年の研究成果を紹介しながらわかりやすく説明がなされています。 個人的には、中世の歌論についての概観があればありがたかったのですが、それでも和歌の歴史の全体像を把握することができたという意味では、有益な内容でした。

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2023/01/12

勅撰和歌集の三代集〜八代集にはじまり、鎌倉〜江戸〜明治の中近代まで大きな和歌から短歌の流れを知ることができた。 南北朝時代〜後半は知識不足で書いてある内容についていくのが精一杯で次々出てくる人物があまり頭に残らなかった。 個人的に興味深かったものは下の2点。 ・御子左家(二条派)...

勅撰和歌集の三代集〜八代集にはじまり、鎌倉〜江戸〜明治の中近代まで大きな和歌から短歌の流れを知ることができた。 南北朝時代〜後半は知識不足で書いてある内容についていくのが精一杯で次々出てくる人物があまり頭に残らなかった。 個人的に興味深かったものは下の2点。 ・御子左家(二条派)の伝統・保守的な立場と、既存の枠を超え自由な発想で対抗する京極派の対立。 ・先に京極派が衰退し、二条派の稽古修練によって多数が一定水準に到達しうる事が評価されている点。 現代だと芸術は自己表現の手段として認識されてるけど、次代にも継承していく技や"道"として捉えると決して間違いではない選択なんだろうなぁ、と思う。 個々の歌や歌人の背景を意識しがちだけど、大きな枠として、伝統や手法に拠っているかのフィルターで選者が選んだものが残っている側面があると理解して鑑賞する事も大事と感じた。

Posted byブクログ

2021/02/27

高校の国語や日本史の授業では、主に万葉集から藤原定家の時代までの和歌を扱います。しかし、その後の和歌については古今伝受などのワードを目にするくらいで、正岡子規や与謝野晶子が出てくるまで歌を読むことはありません。彼らの短歌は定家の和歌とは明らかに違いますが、この間に何があったのかず...

高校の国語や日本史の授業では、主に万葉集から藤原定家の時代までの和歌を扱います。しかし、その後の和歌については古今伝受などのワードを目にするくらいで、正岡子規や与謝野晶子が出てくるまで歌を読むことはありません。彼らの短歌は定家の和歌とは明らかに違いますが、この間に何があったのかずっと不思議でした。 本書はそうした空白期間を埋めてくれます。定家の家が孫の代で二条、京極、冷泉に分裂したこと、血の絶えた二条派が古今伝受によって後水尾天皇に繋がったこと、江戸時代では地下の人々も和歌を詠んだこと、などなど。もちろん歌の解説としても楽しめました。

Posted byブクログ