ピアノソナタ殺人事件 の商品レビュー

高階良子(著者)

2014/05/27

【ピアノソナタ殺人事件】従兄弟の聖子は美人でお金持ちでピアノが上手。育は聖子の引き立て役だと分かっていても、頼れる人は聖子しかいないから、引き立て役に甘んじている。そんなある日、聖子は硫酸をかけられ転落死してしまう。
硫酸トリックのヒントが「ガシャーン」の音しかないのはややアンフェアかなと思いました。育がタイミングよく二重人格者になるのも不満。

【学園祭殺人事件】演劇部の源と交際している社長令嬢の美春は、黒猫を持った青い目の金髪女につきまとわれる。ある日、学校で金髪女に襲われ、反撃して女を殺してしまう。現場を目撃した長谷が死体を隠蔽し美春を脅します。
それぞれの思惑がある程度描写されているのでからくりの予想はつきますが、作品の完成度は高めだと思います。青いコンタクトレンズから展開されていくプロットは読み応えがありました。

【交換日記殺人事件】幼なじみの愛と竜介は交換日記を続けている。ある日、愛が行方不明になり遺体となって発見された。竜介は産まれて直ぐに里子に出された愛の双子の姉・圭と一緒に事件の謎を追っていく…。
圭の写真を見て反転するプロットはなかなかドラマティックでしたが、それまでの伏線やミスリードがないので「やられた」という感じはありませんでした。

【円の中の殺人事件】学校で望遠鏡を覗いたら殺人事件を目撃してしまった響。先生に伝えるが相手にされない。そのうちその先生が転落死する。果たして関連性はあるのか？
望遠鏡をのぞいたらたまたま殺人の瞬間を見てしまった…という掴みと、「俊が犯人では？」と思わせる展開が良いです。ただ、真相はそれ程意外ではなく、捻りが足りない気がしました。