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興門教学の研究 改訂新版 の商品レビュー

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2013/07/17

日蓮の本弟子の一人、白蓮阿闍梨日興の思想を教学史の観点で研究したもので、「宗学全書興尊全集」(立正大学編纂)、「日興上人全集」(興風談所編纂)を研鑽する傍らに置きたい一書。 石山派において、日興は「久遠元初の三宝」の僧宝として信仰の対象となっているが、どういった人物で、どのよう...

日蓮の本弟子の一人、白蓮阿闍梨日興の思想を教学史の観点で研究したもので、「宗学全書興尊全集」(立正大学編纂)、「日興上人全集」(興風談所編纂)を研鑽する傍らに置きたい一書。 石山派において、日興は「久遠元初の三宝」の僧宝として信仰の対象となっているが、どういった人物で、どのような思想展開をしているのか明確に答えられる信者はほとんどいないと思う。 日興にまつわる伝説として、①久遠寺の別当に任ぜられ、第二祖となった。②他の本弟子5人と教義的解釈で論争した。③身延地頭波木井実長の教義逸脱により離山した。 が今もなお語られている。 これらの伝説は、現在の研究成果で何ら根拠のない言い伝えとされている。 ①、有名な二箇相承は後世に創られた偽書とされ、日蓮も本弟子に上下を定めず不次第としている。日蓮の葬儀では別当であるはずの日興ではなく日朗と日昭が執り行い、日興自身は棺を担ぐ任であった。別当なら身延に常住しているはずが、墓所輪番の9月にだけ登山したのみである。 ②、実際は、日向と他の本弟子5人との論争で、重須に移った後も日興は日昭たちと交流をしている。 ③、波木井実長ではなく日向との確執で離山した。厳格な日興は弟子分与で破門した弟子は「義絶」と明記しているが、波木井実長は終生弟子としている。 また、宗祖本仏、曼荼羅正意、種脱判など石山特有の教義は、日興の思想には見られず、日有から始まり、日寛の時に理論としてまとめられたと考えてよい。 それでは日興の思想はなんだったのか。 その示唆を与えてくれるのがこの書だと思う。

Posted byブクログ