こんなにすごかった！宇宙ロケットのしくみ の商品レビュー

的川泰宣【監修】

2011/10/27

宇宙のことは勉強してきたつもりだが、ロケットとなると断片的な知識しかなかったので、気楽に読もうと思い購入。

思ったよりたくさんの、そして広い範囲からの疑問を簡潔に、テンポよく答えてくれている。
ロケットの種類や技術、打ち上げといったハード部分だけでなく、太陽系探査や宇宙飛行士に関する知識も得られる。
そういったことを各章で時系列に沿って記述されていて、これまた理解が容易になる一因である。現在だけでなく、将来のビジョンに多々触れているのも、希望を持たせてくれる。

個人的には推進材の特色や飛行機やミサイルとの違い、将来の宇宙船の動力源などに興味を引かれた。とくに日本が開発しているイプシロンロケットの制御には驚かされた。管制室で大勢が制御するのではなく、ラップトップ一台で対応できる日が迫っているなんて信じられない。
この本を読んでいて、日本はすごい技術力があるんだなと感心した。あとは有人宇宙飛行に踏み切れるかどうか。これができれば、日本の宇宙産業は多いに活気付くだろうが、リスクを犯すことを望まないこの国がその判断をいつくだすんだろうか。

はやぶさの活躍はまだ新しいし、加えてスペースシャトルの引退もあった。今まさに宇宙開発の転換点を迎えている、そんな時代だ。だからこそ次世代の宇宙開発の前に読んでおきたい一冊だ。