動物会議 の商品レビュー
エーリヒ・ケストナーの1949年発行の本。「愚行をくりかえす人間社会を座視してはいられない思いにつらぬかれている」(訳者の池田香代子さん) 75年後のいま、愚かさに満ちた人間社会を恥じねば。
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「まったく、人間どもったら!(中略)戦争さ! 戦争をやろうっていうんだ。それから、革命、ストライキ、食糧危機に、あたらしい病気もだ。」 人間の愚かさに腹を立てた世界中の動物たちが、動物ビルに集まって、最初で最後の会議をやるというお話し。会議の議題は「子どもたちのために!」...
「まったく、人間どもったら!(中略)戦争さ! 戦争をやろうっていうんだ。それから、革命、ストライキ、食糧危機に、あたらしい病気もだ。」 人間の愚かさに腹を立てた世界中の動物たちが、動物ビルに集まって、最初で最後の会議をやるというお話し。会議の議題は「子どもたちのために!」 人間vs動物という設定は面白いです。 手元の大型絵本の初版は、1999年。ヴァルター・トリアの絵とともに、まったく色褪せない内容です。『動物会議』の結論は、ジョン・レノンの「イマジン」というところでしょうか。 既に読まれた方もいらっしゃると思いますが、今この時期に読むと感慨ひとしおの一冊です。
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50年以上も前の絵本なのに同じ問題を今だに人間は抱えている。断れない条件を出すマフィアのような、動物会議が出したインパクトある実力行使に匹敵する方法は現在にないものだろうか。 大人はどうして戦争を止められないのか。それに答えられずにいる大人は戦争責任の一端であれ十字架をずっと背負...
50年以上も前の絵本なのに同じ問題を今だに人間は抱えている。断れない条件を出すマフィアのような、動物会議が出したインパクトある実力行使に匹敵する方法は現在にないものだろうか。 大人はどうして戦争を止められないのか。それに答えられずにいる大人は戦争責任の一端であれ十字架をずっと背負い続けなければならない。
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子どもたちのために立ち上がる動物たち。 ウクライナの戦争が起きてから、話題に上がっていたケストナーの作品、やっと読めました。 最後は泣いてしまった。 わたしたちは、子どもたちの未来のために戦うことが出来るだろうか? これは子どもというより、大人に読んでもらいたい本でした。大人の...
子どもたちのために立ち上がる動物たち。 ウクライナの戦争が起きてから、話題に上がっていたケストナーの作品、やっと読めました。 最後は泣いてしまった。 わたしたちは、子どもたちの未来のために戦うことが出来るだろうか? これは子どもというより、大人に読んでもらいたい本でした。大人の耳に痛い。。。 戦争なんてくだらない。国境なんてくだらない。
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戦争が終わり、各国の首脳たちは世界平和のための国際会議を重ねていますが、成果があがりません。 大国で戦勝国の人間たちが主導権を握る会議では、何にも決められません。 それを見ていた世界中の動物たち 「だったら、僕たちも会議を開こう!」 と立ち上がった動物たちのスローガンは、ただ一つ...
戦争が終わり、各国の首脳たちは世界平和のための国際会議を重ねていますが、成果があがりません。 大国で戦勝国の人間たちが主導権を握る会議では、何にも決められません。 それを見ていた世界中の動物たち 「だったら、僕たちも会議を開こう!」 と立ち上がった動物たちのスローガンは、ただ一つ〝子どもたちのために〟でした ・・・ 文学をとおしてナチス・ドイツに抵抗したエーリッヒ・ケストナ-(1899-1974)の創作にヴァルタ-・トリア-の絵が奏でた、痛烈に世評を風刺した物語絵本です。
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「子どもたちのために!」 戦争や環境破壊に嘆く動物たちは、人間の大人たちはそっちのけで、人間の子どもたちのために立ち上がったーー-!! こういうことを過酷な戦時下で声高に言える大人は、すごい
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いつの時代も変わらないテーマ。 地の文をですます体に変えて読み聞かせしたほうが、私にはしっくりきました。 条約の中に、教育についての文言があるところ、すべての政治家に読ませたいと思いました。
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自国の利益のことばかり考え合意に至らず、いがみ合いばかりを続ける人間達に業を煮やし、”子ども達のために”人間達に最後通牒を突き付けるため、動物達は動物会議を開くことに。 会議場に集まるまでの世界各地の動物達のすったもんだぶり、動物会議が人間達の首脳会議にけしかける作戦は、子ども向けの本らしくユーモラスであるが、根底にあるテーマは至ってシリアス。 すべては子ども達のために。 戦争の無い世界を。 ロシアのウクライナ進行が始まった当初テレビで見た、年端もいかない男の子が一人で泣きながら戦地から逃れるために歩く姿が忘れられない。 あれは間違っている、絶対に。
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人間の子どもたちのために、世界中の動物たちの代表者が集まり、地球からあらゆる紛争をなくそうと、会議を行っている人間たちに要求を突きつける。 動物たちの「なんだってこんなかわいい子が、いつかはおとなになっちゃうんだろう? さっぱりわけがわからないよ!」という言葉に、星新一の「約束」(『ボッコちゃん』所収)を思い出す。 極端な理想論だけれど、理想がなければ世の中はよくならない。みんなが現実しか見ないと、どんどん悪くなるのではないか。
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第二次世界大戦終結から四年後に出版されたケストナーの大型絵本です。戦争を始めとする災禍から人間の子どもたちを救うためにはどうしたらよいか、もはや人間には任せておけんと、世界中から動物の代表が集結して大会議を開く物語です。 ウクライナで今日も流れているおびただしい血を思うと、絵本...
第二次世界大戦終結から四年後に出版されたケストナーの大型絵本です。戦争を始めとする災禍から人間の子どもたちを救うためにはどうしたらよいか、もはや人間には任せておけんと、世界中から動物の代表が集結して大会議を開く物語です。 ウクライナで今日も流れているおびただしい血を思うと、絵本のなかで「かんにんぶくろの緒」が切れた動物たちの気持ちは、(政治家たちや軍人以外の)庶民の多くが共有している想いなのかとも思います。現在良く売れているそうです。 「きょうからきっかり4週間後、動物ビルで会議があるぞ!」 その発端は、ライオンのアーロイスが、象のオスカルとキリンのレーオポルトと一杯やるために、北アフリカのチャド湖のほとりでおちあう、ある金曜の夜でした。驚くべき連絡網と知恵により、まるでかつてのノアの方舟以来の、総ての動物たち(鳥や爬虫類も含む)の代表の大集合が図られたのでした。 同日はケープタウンで世界の首脳たちが87回目の会議のしている真っ最中でした。 会議の大スクリーンにシロクマくんの演説が流れます(←まるで現代のようですね)。あまつさえ、その大迫力にシロクマがクシャミをしたら、会議のメモ用紙が全部飛んでしまう(←まるで未来のようですね)。 「いまあるもっともゆゆしきさまたげをとびこえてください。すなわち、国ぐにの境をとびこえてください」 でも、首脳たちは相手にしません。「お断りします」と直ぐに返事が来る。 動物会議は知恵を絞ります。 「あのおびただしい書類が彼らの分別の妨げになっているのだ」 「あの制服が悪いのだ」 動物会議は、それらをケープタウンの会議から一掃させますが、なんと人類はそんなことでは怯みません。(←ホントか?かなり有効だったと思うんだけどなあ)動物会議は最後の手段に出ます。もちろん武力以外で。それは‥‥。 最後に「おえらいさん」たちが調印した五か条の条約は、とっても素敵で、ホントは紹介したいのだけど、みんなに読んで欲しいので秘密にします。 ケストナー50歳の時に書かれた絵本(絵はヴァルター・トリア、訳は池田香代子)。それから50年後、池田香代子さんは後書きで呟きます。 「50年経った今でも、事態は全く変わっていないことに、本当に嫌になります。戦争、難民、飢饉、それらに無力な国際政治。まるっきり今も同じです。いえ、世界大戦から何も学ばなかったのがこの50年だったのか、と思い知らされて、今の方がより悪い、と思えてきます」それから23年後、さらに私たちは池田さんと同じだ、と呟いてしまいます。 「動物たちは、今日も業を煮やしていることでしょう。でも、いやにならずに踏みとどまる心の力が、私たちにはあることを、この絵本に出てくる動物たちといっしょに確かめたいと思います」。大型絵本版の訳者あとがきでそう書く池田さんに倣うなら、動物たちにまた先を越される前に、人間社会の各々の小さな現場で、倦まず諦めず、アーロイスやオスカルやレーオポルトとなっておちあう時間が大事になってきそうです。 ‥‥と、この本を紹介してくれた岩波書店「図書6月号」に倣うなら、わたしたちは「力には力で」と主張する「おえらいさん」たちに、あっと言わせる方法の知恵を、諦めずに出し合いたいと思うのです。
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