のこされた動物たち の商品レビュー
福島第一原発20km圏内に取り残され、様々な苦労をしている犬・猫等の愛玩動物、家畜の様子を、震災後3ヶ月間にわたり、写真と文章に記録したもの。飼い主に見捨てられたにもかかわらず、家の前で主人が戻ってくるのを、飢えと闘いつつ、寂しげな表情でひたすら待ち続ける姿は健気だ。 野生動物...
福島第一原発20km圏内に取り残され、様々な苦労をしている犬・猫等の愛玩動物、家畜の様子を、震災後3ヶ月間にわたり、写真と文章に記録したもの。飼い主に見捨てられたにもかかわらず、家の前で主人が戻ってくるのを、飢えと闘いつつ、寂しげな表情でひたすら待ち続ける姿は健気だ。 野生動物と異なり愛玩動物は、人間との相互関係の中で生活するものであり、その生存に関わる最大の要素は、飼い主の資質や責任感、次いで、飼い主による十分な保護が叶わなくなった場合における公的・社会的支援の成熟度である。平時から年間30万匹の犬猫が殺処分される日本では、未曾有の大震災の前に、為す術もなく、ただひたすら動物たちを見殺しにせざるを得なかった。本書は、そうした事実を、目を覆いたくなるような写真とともに、我々に残酷に突きつけてくる。
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福島第一原発20キロ圏内に取り残された動物たちを保護したり、餌をあげたりするボランティアをしながら、そこで見た動物たちを写真でレポート。ペットの犬や猫、家畜の牛・馬・豚…。限りなく切ない。 特に、家畜の牛や豚たちは、柵の中で糞尿にまみれ飢え死にしている様子がカメラに収められており、粋がつまる。 いずれ食肉となる運命だったのだとしても、人間の都合でこんな過酷な生を強いられてしまった動物たちに、何をすれば良いのだろうか。
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頭ではわかっていたけど、こんなことになっているなんて…。 「かわいそう」一言では済ませられないのはわかっています。 優先順位をつけるのは必要だと思うし、ある意味仕方がないと言えるのかもしれません。 でもこの写真を見て、そういう事を抜きに心が痛みました。 やっぱりこういう現実を突...
頭ではわかっていたけど、こんなことになっているなんて…。 「かわいそう」一言では済ませられないのはわかっています。 優先順位をつけるのは必要だと思うし、ある意味仕方がないと言えるのかもしれません。 でもこの写真を見て、そういう事を抜きに心が痛みました。 やっぱりこういう現実を突き付けられた時、人は頭ではなく心で感じるんだと思いました。 正直見るに堪えない写真ばかりでした。 でも見るべきだと思う。 人の想像力ってやっぱり限界があるんだよね。 幸せに暮らさせてもらっている人間として、しっかり見るべきだと思う。 でも見るだけ、知るだけでは足りないと思う。 この想いは行動しないと伝わらない。
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衝撃を受けた。いかに人間が自分勝手か思い知らされる。目を覆いたくなるけど、ちゃんと向き合わなければいけない現実。
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読みたい読みたくないはフィクション。 読まなきゃいけないがノンフィクション。 だから読んで欲しい、一冊です。 私たちは生きて生きて、一緒に生きなくちゃいけないね。
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胸が詰まる写真。残された動物の気持ち、置いていかざるを得なかった飼い主の気持ちを考えるとき、ここに至たる状況を作り出した人間を責めても、飼い主を責めることなんてできはしない。太田氏の厳しくも優しい視線の文章に少し癒される気がした。語り継ぎたい本である。
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苦しみも、悲しみも忘れてはいけないと思う人の為に. この本は読者を泣かせる気まんまんです. 立ち読みや、電車、喫茶店、図書館で読むのは危険です. 犬猫といったペットよりも 牛豚といった家畜が悲惨でした. 餌を与えた豚は翌日に殺処分される 牛たちは飢え死に、牛舎から放たれた牛は水を求めて用水路に落ちそのまま上がれず水の中で死んでいく. p [63] の足を2本切断してしまっている犬のエピソードは希望が持てました. こんな状況の中で、4匹の犬を率いて猪や野犬から家を守り続けてる. この話は希望の涙
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泣きながら本のページをめくりました。 原発事故のせいで、その場に残された動物たち。 そして、自分たちの飼い主が帰ってくるのを待ち続ける犬や猫。 すでに命を落としてしまった動物たちもたくさんいます。 原発事故さえなければ、あんな姿で命を落とすことはなかっただろうし、美しい福島の土の...
泣きながら本のページをめくりました。 原発事故のせいで、その場に残された動物たち。 そして、自分たちの飼い主が帰ってくるのを待ち続ける犬や猫。 すでに命を落としてしまった動物たちもたくさんいます。 原発事故さえなければ、あんな姿で命を落とすことはなかっただろうし、美しい福島の土の上を元気に走ったりしていたことでしょう。 人間はなんとか避難できていますが、でも動物たちは残して行かざるをえない状況にあります。 そして、そんな動物たちのことを思い、ボランティアで保護活動している方がおられ、中には、毎週東京から福島に来て、保護活動をしている人もおられるとか。そして、その方はそのためにお金を使いすぎ、週末はアルバイトをしてお金を貯めていると。 民間人がそこまでしているのです。 この原発事故を引き起こした人たちは、一体何をしているのか、とそんな思いもでてきました。 出来ることは限られていても、出来ることを少しずつ行動にうつしたいという著者の太田さん。私に出来ることは何だろうかと考えさせられました。
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事故以来、避難区域になっている福島第一原発の20キロ圏内は人間こそいないものの、動物たちが生きている。ペットや家畜として人間とともに生きていた動物たちが残されている。飼っていた人、育てていた人は、一時のつもりで置いていったり、避難所へ連れて行けなかったりしたために残していったのか...
事故以来、避難区域になっている福島第一原発の20キロ圏内は人間こそいないものの、動物たちが生きている。ペットや家畜として人間とともに生きていた動物たちが残されている。飼っていた人、育てていた人は、一時のつもりで置いていったり、避難所へ連れて行けなかったりしたために残していったのかもしれないが、結果としてその後、家には満足に帰ることもできず、動物たちは過酷ななかで生き、そして命を落としていった動物たちも少なくない。収載されている写真は、身につまされるし、胸が痛くなる。目をそむけたくなるような惨状の写真もある。人が住んでいた痕跡があるからこそ、なおさら悲惨に映る。 鎖につながれたり、食べられるために生きることは決して幸せではないけれど、そうして生きていた動物たちにとって人間がいない、つまり世話をしてくれない状況では生きていけない。いくら動物とはいえ、自然に順応するにはそれなりの時間がいる。また、人がいなくなったこの地域でのびのび生きているかもしれないけれど薬殺に遭ったり、何より放射線被曝で苦しみながら生きていかなければならないのかもしれない。 いざとなったとき人間と動物とどちらを助けるか――そう問われれば人間のほうを助けると答えるだろうし、実際にもそう振る舞ってしまうだろうけど、人間か否かというだけどあまりにも痛みなく命を扱ってしまってはいないだろうか。人を信じて、身を委ねて生きていた動物たちに、あまりにも酷な生き方を強いていることにも思いを向けなければ。
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のこされた動物の様子をみて、 この動物たちの飼い主の気持ちを考えたら涙でた。 まだ、ペットは保護も可能だけど、 牛や馬の目を背けたくなる死の姿。 震災の影響は、想像できなかったところまで及んでいて、あまりにも大きすぎる。
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