父の戦地 の商品レビュー
どの一通をとっても、娘を思う父親の気持ちがはっきりと解る。その優しさをもってしても多くの人を死に至らしめてしまうのが戦争であり、伝わり来る悲惨さがまるで熾き火のよう。
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「北原亞以子」が戦地から届いた父の手紙を紹介しながら、戦時中の内地での生活を綴った作品『父の戦地』を読みました。 『戦史の証言者たち』、『大本営が震えた日』、『出口のない海』に続き太平洋戦争関連の作品です。 -----story------------- ゲンキデ、アソンデ、...
「北原亞以子」が戦地から届いた父の手紙を紹介しながら、戦時中の内地での生活を綴った作品『父の戦地』を読みました。 『戦史の証言者たち』、『大本営が震えた日』、『出口のない海』に続き太平洋戦争関連の作品です。 -----story------------- ゲンキデ、アソンデ、オリマスカ。 南方ビルマに出征した家具職人の父は、昭和17年から3年間、おさない著者に70通もの絵入り軍事郵便を送り続けた。 そこにはいつも娘の健康を気にかける言葉と、現地ののどかで珍しい風物のイラストが、ユーモアたっぷりの筆致で添えられていた。 時代小説の名手が、戦争のむごさ、そしてついに生きて会えなかった父への限りない愛惜を綴る慟哭の記。 ----------------------- 戦地で従軍しながら、常に家族のこと… 特に娘のことを気にかけて送られてきた、現地の風物イラスト入りの手紙を拝見して、どんな気持ちで戦地で生活したんだろうなぁ… と、自分に置き換えて考えてしまいましたね。 家族を守るため、戦争が終われば家族と一緒に住むために戦地に赴いたにも関わらず、内地の状況が悪化していることは気懸りでならなかっただろうなぁ。 銃後に生活する市井の人々の情景や心情が、実体験に基づきリアルに描かれており、当時の大変さ(異常さ?)が伝わってきました。 繰り返してはいけない歴史ですね。父の戦地
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幼い頃の記憶はあまりにもおぼろけで、戦地に旅立つ父親の姿さえも霞がかかる。それでも、1枚の赤紙で呼び出された父親は家族に宛てて170枚に及ぶ絵手紙を残す。遠い戦地から家族に宛てて。胸が痛くなる。それでも、家族愛で溢れるこの作品に出会えて良かった。
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タイトルから想像したのと本文はちょっと違う感じだったけど、 全てカタカナで書かれた著者宛の戦地からのハガキは、 愛情たっぷりで、そこに時々哀惜や、呑気なムードなどないまぜになってなんとも胸をきゅーっと絞る雰囲気に満ち満ちている。 最後に載っている兵隊服の“父”の笑顔が、穏やかなだ...
タイトルから想像したのと本文はちょっと違う感じだったけど、 全てカタカナで書かれた著者宛の戦地からのハガキは、 愛情たっぷりで、そこに時々哀惜や、呑気なムードなどないまぜになってなんとも胸をきゅーっと絞る雰囲気に満ち満ちている。 最後に載っている兵隊服の“父”の笑顔が、穏やかなだけに、 あー、この人はこの笑顔で日々を過ごしながら、 娘や家族を想い、沢山の手紙を綴ったのかぁと思ったら 改めてどこか明るい辛さがこみ上げた。
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毎年夏休みには、終戦記念日に因んで戦争ものを一冊読むようにしています。直木賞作家の北原亜以子さんが、南方の戦地に出ていたお父さんからの手紙をもとに、当時を振り返るという内容です。 手紙の内容は、当時北原さんが子供であり、子供に宛てた父の手紙なので、戦争の悲惨さや凄惨さは書かれてい...
毎年夏休みには、終戦記念日に因んで戦争ものを一冊読むようにしています。直木賞作家の北原亜以子さんが、南方の戦地に出ていたお父さんからの手紙をもとに、当時を振り返るという内容です。 手紙の内容は、当時北原さんが子供であり、子供に宛てた父の手紙なので、戦争の悲惨さや凄惨さは書かれていませんが、子を思う父の愛情がしみじみ伝わってきます。そして北原さんの回想からは、戦争末期の本土での空襲の様子がリアルに感じられ、あらためて忘れてはならない歴史がそこにあったことを再確認できます。 (2012.9.9 藤本)
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その頃の気持ちに自分を重ねて読んでみようと思った。 あの頃を想像してみようと強く思った。 ダメだった。 ボクには合わない、ということだと思う。 途中で断念です。
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幼少の頃の記憶を思い返すのは大変な作業だ。自分自身の歴史を辿ってみてもそうだろう。記憶は曖昧で、綿あめのようなふわふわとした、輪郭のないものだ。もしかしたら、記憶の大部分は自己の空想、フィクションでできていると言っても過言ではないかもしれない。私たちは、現在進行形で進むこの時間を...
幼少の頃の記憶を思い返すのは大変な作業だ。自分自身の歴史を辿ってみてもそうだろう。記憶は曖昧で、綿あめのようなふわふわとした、輪郭のないものだ。もしかしたら、記憶の大部分は自己の空想、フィクションでできていると言っても過言ではないかもしれない。私たちは、現在進行形で進むこの時間を材料にして、過去の記憶を作り上げているのである。 戦争によって、幼くして作者は父親と引き裂かれた。そして、父親を戦争で亡くした。 父親の表情ひとつさえ満足に覚えていない作者と父親を結びつけたのは、戦地からの父親の「手紙」であった。 父親は、内地にいる家族を想い、ひたすら手紙を出し続けた。 幼い作者に宛てた手紙には、現地の暮らしを暖かな挿絵にしたものが毎度描かれており、父親の優しくてユーモアな人格を垣間見ることができる。 「お母ちゃん、おばあちゃんの言うことをよく聞くんだよ」「たくさん遊んで体を丈夫にしてください」 …ありふれた言葉かもしれないけれど、毎度毎度書き連ねた父親の字列からは、遠い地からも愛娘の成長を誰よりも楽しみにしている様子が見て取れる。 愛する娘の成長を誰よりも近くで見ていたかった。父親は戦死するなど夢にも思っていなかったはずだ。 しかし父親は、愛する我が子の顔を、二度と目にすることなく命の灯を消してしまったのだ。 「父の戦地」から届いた「父の愛情」は間違いなく作者へ届き、その「愛情」によって、作者は記憶よりも確かなものとして父親を目の前に描いているのだろう。 思い出す父親は空想上のものかもしれない。しかし確かなものとして残っている手紙を手がかりにして父親との線を結ぼうとする作者を健気に感じた。 最後に載せられた父親の写真と作者の顔がなんとも似ていて、まさに生き写しのように感じられた。 私は、胸がキューっとなるのを感じた。
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毎年、8月15日の終戦記念日前になると発行される戦争もの。 裏表紙を読んで買って大概外れないけど、残念。 「父の戦地」という題名と内容がかい離している。 著者の戦時体験中心で、なかなか読み進めなかった。
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