哲人政治家 李登輝の原点 の商品レビュー
表題に惹かれて手に取った。しかし筆者の哲学と李登輝の哲学との区別が明確でなく、記述がごちゃ混ぜになっていて読みづらかった。また、台湾出身の筆者にありがちなことだが中国との関係を語る際の、いささか中立を欠いたエキセントリックな語り口がどうも読み手を萎縮させてしまう。
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本書だけで李登輝氏の人物像全てを理解することはできない。しかし、表題どおり原点となった書物や経験を知ることができる。そして、誰しも李登輝氏がとてつもなく大きな存在であることを認めるはずだ。本書で紹介された数々の原点を自らの目で確かめたいと思う。 氏の基盤は、岩波新書と旧制高等学...
本書だけで李登輝氏の人物像全てを理解することはできない。しかし、表題どおり原点となった書物や経験を知ることができる。そして、誰しも李登輝氏がとてつもなく大きな存在であることを認めるはずだ。本書で紹介された数々の原点を自らの目で確かめたいと思う。 氏の基盤は、岩波新書と旧制高等学校・旧帝国大学で培われた膨大な知識に裏付けられた教養だということが記されている。人格形成のための教養教育の在り方を考える動機がまた深まった。 57頁に「人は皆 草の如しと ブラームス」と紹介されている。これは李登輝夫人の好んだ句だそうだ。私の歌心ではすぐに解釈することができなかったので、少し調べてみると、ブラームスのドイツレクイエムに用いられているテクストだった。「人はみな草のごとく その栄華はみな草の花に似ている 草は枯れ、花は散る」(ペテロの第一の手紙1章22-25節の一部)を、2曲目としてb-mollの重々しい葬送行進曲として、表現としている。 一昨年の日比谷公会堂での講演内容「船中八策に基づいた私の若い皆さんに伝えたいこと」のことも納められている。(参考: http://ritouki-aichi.sblo.jp/article/32035583.html )実際の講演の雰囲気と声を思い出した。 この哲人の原点を理解できる人材を育成することが、今の閉塞感に満ちた日本から脱却する最も継続性のある手段だと考える。
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※このレビューにはネタバレを含みます
理想人物として、正直、忠実、品格を大切にする政治家、李登輝を書こうとした、黄 文雄。 人物を描きながら、中国と日本を対比した文化論や死に対するスタンスまで、述べている。
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