人生について 日記抄 新装復刊 の商品レビュー

アンリ・フレデリック・アミエル(著者),土居寛之(著者)

2024/10/09

知らない人だ、と思いながら手に取ったが、実際、人気のない一介の大学教授として平凡な人生を送り、本作（日記）以外に著作もない人物であるらしい。なんだかネット民のような言い訳っぽさと社会性への僻みがある人だなと思っていたら、解説によると実際極度の内気かつ完璧主義者で、結婚目前までいきながら相手の長所と短所を点数化し差し引いてマイナスになるから結婚できない…みたいなことを何度かやったらしい。そういうとこだよ！女性に関する記述も、推して知るべしである。非論理的で、責任なある職業に就けてはいけないと断じている。時代的に仕方なさもあるが、やれやれ。
一方で胸に刺さるような思索もいくつもあった。理想から軽蔑を引き出してはいけない、理想から善意を引き出すべきだ（大意）との言葉は本当にそのとおりで、ともするとjudgyになりがちな自分への反省としても、繰り返し噛み締めたい。