天台思想入門 天台宗の歴史と思想 の商品レビュー
鎌倉時代の僧である凝念大徳が執筆した『八宗綱要』のなかの「天台」の章にかんして著者が講義をおこなうというスタイルで書かれた本で、天台思想の形成史とその内容がていねいに解説されています。 本書ではまず、『法華経』の中国への伝来と天台宗の成立についての簡単な説明が置かれており、つづ...
鎌倉時代の僧である凝念大徳が執筆した『八宗綱要』のなかの「天台」の章にかんして著者が講義をおこなうというスタイルで書かれた本で、天台思想の形成史とその内容がていねいに解説されています。 本書ではまず、『法華経』の中国への伝来と天台宗の成立についての簡単な説明が置かれており、つづいて『八宗要綱』の文章を引用しつつ、著者自身の解説がおこなわれます。 とくに蔵教・通教・別教・円教のそれぞれの段階について、順を追ってくわしい紹介がなされているのですが、さまざまな経典について解説書を執筆している著者だけに、多少くだけた調子もまじえながら説明がなされています。もちろんそこには著者の解釈が混入しているのでしょうが、積極的に独自の解釈を押し出しているというより、読者が親しみをもつことのできるような工夫といったほうが当たっているのではないかという印象です。
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