スマート・パワー の商品レビュー
軍事と経済のハードパワーと説得と魅力のソフトパワーを組み合わせたスマートパワーが重要という話。 この3種類のパワーが何か、サイバーや力の移行を受けて世界はどうなるか、そしてアメリカはいかなる戦略をとるべきかということについて論述している。
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スマートパワー:強制と金銭の支払いというハードパワーと、説得と魅力というソフトパワーの組み合わせ 21世紀には、各国間の力の以降と、国から非国家主体への力の拡散が起こっている 力の3つの側面 ①威嚇や報酬を使って望みに反する行動に変化させる。相手はその影響力を感じている ②選択を限定するやり方で行動を管理させる。相手は気づいている場合もあるし気づいていない場合もある ③相手の基本的な信念・認識・好みを作り出すのを助ける。相手は影響力を気づいていない場合が多い。 先進国間の外交では2,3を、反乱勢力との外交では1の比率が多くなる。 (ハード)強制 脅し 支払い 制裁 枠づけ 説得 魅力(ソフト) 資源では、軍隊 資金 政策 制度 考え 価値 文化 など 注意すべき点は、資源はあくまで行動を生み出す部分にすぎない、資源と行動を混同しないようにすること。 アメリカは通常戦争で圧倒的な優位を誇っているが、中国の策略家は直接対峙することをあきらめ、電子機器、外交、サイバー戦略、テロ、宣伝活動の手段を組み合わせた「無制限戦争」の戦略を開発した。これは国と国との直接対決が少なくなり、民兵による武装勢力vs政府が増えた現代戦において、戦わずして勝つことにつながる。 敵を滅ぼすことより民衆を助け民衆の支持を得たり、道路や診療所の建設というソフトパワーをハードパワーに組み込んだ対反乱作戦があるが、活動の難しさと費用の多さから、成功率は50%ほど 大切なのは、軍事力そのものではなく、軍事力をどう行使して目的を達成するかである。 (ハード)物理的強制 脅し 保護 支援(ソフト) 経済的相互依存をめぐる政治的対立の多くは、自国が強い分野では相互依存関係を操作しようとし、弱い分野では、操られるのを避けようとする。 【ソフトパワー】 国のソフトパワーは3つの基本的な資源に大きく依存する。 ①国の文化(相手国で魅力的と思われている場合) ②政治的価値観(国内外いずれでもそれに従って行動している場合) ③外交政策(他国から政党で倫理的に正しいとされる場言い) 大国はソフトパワーを作り出すため、文化やストーリーを活用して自国の良さを伝えようとするが、発言内容やシンボルが国内の現実と一致していなければ、効果的に売り込めるとは限らない。また、ソフトパワーを生み出すのに重要なのは、主体が影響を与えようとする行動ではなく、相手がどう認識するかである。 ソフトパワーで相手に影響を与えるには、直接的な関係(政府のエリート層による決定と結果)と間接的な形態(国民が魅力を感じ、エリート層への政策決定を左右する)の2つのモデルがある。 米のスマートパワー戦略として、「1.管理可能な目標を設定する」「2.利用可能な資源を整理する」「3.影響力行使の相手の資源と好みを評価する」「4.適切な力と命令型か吸引型の行動かを選択し効果を最大化する」「5.目標達成の確率を大戦略・戦術の両レベルで評価する」
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ソフト•パワーについて興味がある人におすすめです。 内容は割と難しいので、YouTubeでナイ教授がソフトパワーについて説明している動画を観てから、この本を読むと理解が深まりそうです。
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ソフトパワーとハードパワーを如何に組み合わせてスマートなパワーを維持・発展していけるのか。日本の例も述べられている中で、その技術・教育といったものは世界に誇れるが、欠けているのは、情報やインテリジェンスといった要素か。単に多様な情報に流されるのでなく、如何に必要な情報を見極めてか...
ソフトパワーとハードパワーを如何に組み合わせてスマートなパワーを維持・発展していけるのか。日本の例も述べられている中で、その技術・教育といったものは世界に誇れるが、欠けているのは、情報やインテリジェンスといった要素か。単に多様な情報に流されるのでなく、如何に必要な情報を見極めてかみ砕き、かつ考え・思想をもってソフト→スマート・パワーにしていけるのか、個々としてもしかと受け止めていかねばと思う。
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おもしろかった。モーゲンソーの力の均衡理論から何十年も経った今、アメリカの政治学者は、アメリカのヘゲモニーが、可能なのか不可能なのか、考えるうえで、権力の概念自体が変化していることを指摘し、新しい戦略が必要だと考えている。実に刺激的な本だ。 参考文献の中に、ケネス・E・ボールディ...
おもしろかった。モーゲンソーの力の均衡理論から何十年も経った今、アメリカの政治学者は、アメリカのヘゲモニーが、可能なのか不可能なのか、考えるうえで、権力の概念自体が変化していることを指摘し、新しい戦略が必要だと考えている。実に刺激的な本だ。 参考文献の中に、ケネス・E・ボールディングの著書があげられてたので驚いた。政治学の本読んでると、経済学でとっくの昔に使われなくなった古い著作や思想が普通に出てくるので驚く。"Three faces of power"は1989年の本だぞ。 アメリカと中国の力のバランスについて、ナイの予測は楽観的。 今後、アメリカの生活様式の脅威となりうる問題として ①テロリズム ②イスラム世界の動き ③アジアの経済力の発展 ④エネルギー市場への依存度 ⑤伝染病や気候変動などの環境問題 を指摘してる。 日本も、少子高齢化して国内市場が萎んでゆく中、スマート・パワーの戦略でも考えなければ、巨大化する中国の隣で、生き残っていけない。でも、クール・ジャパン程度のショボいパワーでは、とてもスマート・パワーにはならないよ。
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サイバー攻撃を含む一連のサイバーセキュリティ問題について、外交政策の視点からの考察は一読に値する。技術的視点から「できることだけやる」という従来の「情報セキュリティ」中心の対応では、グローバル化したサイバー脅威の対策として「何か大事なもの」を欠いているような印象だったのが、本書を...
サイバー攻撃を含む一連のサイバーセキュリティ問題について、外交政策の視点からの考察は一読に値する。技術的視点から「できることだけやる」という従来の「情報セキュリティ」中心の対応では、グローバル化したサイバー脅威の対策として「何か大事なもの」を欠いているような印象だったのが、本書を読んで少しすっきりした印象。
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ナイのこれまでの議論、ハードパワー、ソフトパワー、それらを結合したスマートパワーの議論がレビューできる。その議論を踏まえた上でのアメリカが進むべき道が記されている。
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カテゴリーが難しい本である。アメリカの力の源泉を論じた本であり、 「スマート・パワーとは、強制と金銭の支払いというハードパワーと、説得と魅力というソフト・パワーの組み合わせである」(P14)。すでに『ソフトパワー』で「スマート・パワー」という言葉は導入済みだった。
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