しっぽり濡れ肌 の商品レビュー
霧原流熟年主人公のほろ苦い旅路
2011年から2012年にかけての竹書房ラブロマン文庫には一部で官能小説のシリーズ化にチャレンジしていたフシがあり、『深川てんぐ三姉妹』シリーズ(著:安曇東吾、全4作)や『秘め事しらべ』シリーズ(著:響由布子、全3作)などがこの頃に出されている。本作も後に『とろめく白肌-港町の美...
2011年から2012年にかけての竹書房ラブロマン文庫には一部で官能小説のシリーズ化にチャレンジしていたフシがあり、『深川てんぐ三姉妹』シリーズ(著:安曇東吾、全4作)や『秘め事しらべ』シリーズ(著:響由布子、全3作)などがこの頃に出されている。本作も後に『とろめく白肌-港町の美女』から『秘め肌さぐり-祭りの美女』へと続くシリーズの第1弾である。48歳の熟年マッサージ師【尾崎周一郎】が旅先で出会う麗しき女性達との情交と巻き込まれる事件を追ったほろ苦い物語でもある。 サブタイトルにもあるように本作の舞台は銭湯。ここの看板娘をメインヒロインとし、兄である当主の妻やこの銭湯を贔屓にする女社長、それに別の企業の秘書や周一郎が後に呼び寄せる若い女性マッサージ師といった多彩な面々がサブで加わる。傾いた銭湯の立て直しに一役買ったり、レジャー施設の建設を目論む悪しき企業との確執があったりとドラマがしっかり練り込まれており、中には悪女として立ち回るヒロインもいたりする。また、シリーズ物として当初より想定されていたこともあって周一郎とメインとの年の差を越えたラヴロマンスの行方には切なさが宿る。 最後のメインとの情交を除くと官能面はサヴヒロイン達が主に担当する構成と言える。初心で一途な看板娘だけにピュアな情交も描かれるが、他のヒロイン達にはそれぞれ思惑が絡んでいたりもすることで醸される良い意味での汚れ感が逆に淫猥度を高めており、積極的かつ貪欲に求めてくるヒロインもいる。もちろんマッサージ師としてのテクを活かした悶絶のプレイや交わりもあったりで官能描写は総じていやらしい。
DSK
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