モルモン教とキリスト教 の商品レビュー

ウィリアム・ウッド(著者)

2012/02/21

アメリカ大統領選共和党候補のミット・ロムニー氏がにわかに脚光を浴び始め、改めてモルモン教に興味を覚え、本書を再び手に取った。ロムニー氏は家族そろってのモルモン教徒で、伝道でフランスに滞在したこともある。モルモン教は、1800年代はじめ頃にジョセフ・スミスが立ち上げた新興宗教で、独自の「モルモン経」を経典として用いる、キリスト教とはまったく別物の宗教である。

本書を読み終えた感想は、あらためてモルモン教がトンデモないシロモノであることを実感したというものだ。ジョセフ・スミスはそもそも、麻原彰晃もそうであったように、教団設立以前に詐欺罪で有罪判決を受けている。正に天才的詐欺師は、聖書とキリスト教を悪用して大衆を欺く術を身につけており、実際に欺くことに成功している。モルモン教とは、一言でいえば希代の詐欺師であるジョセフ・スミスによる、壮大な詐欺事件である。もっと言うと、モルモン教は宗教の名を借りた巨大なネットワークビジネスである。

小生はかつてモルモン教日本支部の幹部の引っ越しを手伝ったことがあるが、実に豪奢なつくりの超高級マンションに彼らは住んでいた。およそ宗教家の家とは思えないその家のつくりに驚きつつ、本能的に小生は「モルモン教は宗教ではない。単なるビジネスだ」と直感した。

モルモン教に興味がある人、あるいは勧誘されている人などは一読すべきだろう。