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今村仁司の社会哲学・入門 の商品レビュー

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2017/11/30

マルクスやアルチュセール、ベンヤミン、清沢満之らの思想の意義を発掘するとともに「近代」にまつわる諸問題を問いつづけてきた社会哲学者・今村仁司の思想を解説した本です。 今村は、20世紀の資本主義も社会主義も、ともに近代的な労働と暴力をそなえているという点では批判を免れないと考えて...

マルクスやアルチュセール、ベンヤミン、清沢満之らの思想の意義を発掘するとともに「近代」にまつわる諸問題を問いつづけてきた社会哲学者・今村仁司の思想を解説した本です。 今村は、20世紀の資本主義も社会主義も、ともに近代的な労働と暴力をそなえているという点では批判を免れないと考えていました。本書は、今村が考察した近代の労働観や第三項排除の問題、貨幣の問題について解説を加えています。 さらに、今村がマルクスやアルチュセール、ベンヤミンの思想にイデオロギー批判の系譜を見出し、みずからもその思索を受け継ごうとしていたことについて考察をおこなっています。今村の理解によると、マルクスは新しい経済学の構築者ではなく、徹底した経済イデオロギーの批判者でした。またアルチュセールは、人びとがイデオロギーの中で生きていることを明らかにし、ベンヤミンは上部構造を下部構造の「表現」とみなすことで、マルクスの思想を単純な経済決定論からイデオロギー批判へと読み替えました。今村はこうした思想家たちの仕事を受け継ぎ、われわれがそのなかで生きている「近代」のイデオロギーを批判するとともに、そこから「覚醒」することで新しい倫理へと進んでいく道筋を模索していました。 65歳で逝去した今村は、そうした思索を十分に展開することはできませんでしたが、著者は清沢満之論をはじめとする晩年の今村の仕事を横断的にとりあげながら、晩年の今村が取り組んだ「目覚めの倫理」の内実に迫ろうとしています。 また、労働や暴力といった視座から、近代という時代とそのイデオロギーを批判した今村の業績に関しても、簡潔にまとめられています。

Posted byブクログ

2018/11/30

今村先生の労働倫理の新書が身も蓋もなかったので、先生の行き着く先とは何かを知りたくて購入。著者も、フーコー論とか自己責任論とかで勉強させてもらった人なので、信用できると思ったから。

Posted byブクログ