真サムライガード(2) の商品レビュー
予想外の謎解き展開だが予想内でもある
冒頭から申し訳ないが、やはり絵師さんの変更は(今回も)裏目に出ていると言わざるを得ないだろう。前シリーズの雰囲気との乖離が激しく、キャラもさることながら背景の描き込みが少ない、もしくは無いために実にチープな挿絵という印象に陥っている。もっとも、これを申しても詮無きことではあるが。...
冒頭から申し訳ないが、やはり絵師さんの変更は(今回も)裏目に出ていると言わざるを得ないだろう。前シリーズの雰囲気との乖離が激しく、キャラもさることながら背景の描き込みが少ない、もしくは無いために実にチープな挿絵という印象に陥っている。もっとも、これを申しても詮無きことではあるが。そして、今回は恐ろしく偏った設定で攻めている。男の娘を筆頭にに変り種がわんさか出てくる印象である。もはやこのシリーズに当初のイメージは無く、真シリーズは新シリーズなれど別シリーズとの心持ちで読まねばなるまい。 さて、今回はストーリー展開も攻めている。刀不要の謎解き展開である。予想外と言えば予想外だが、舞阪作品を知る諸兄であれば予想の範疇かもしれない。そう、作者の『狗牙絶ちの劔』シリーズ(富士見ファンタジア文庫)の第2巻と酷似しているのである。「そうキタかー」とも思うし「またキタかー」とも思える展開かもしれない。ただ、謎を解くのが愛香なので、そこはそれ、実に愛香らしいおトボケ感が満載となっている。そして、本巻の前後は、真シリーズを通しての適役となった菊玖綺煌の動向が盛り込まれる構成である。 思いの外、という形で警護寮護衛三課にダメージが与えられており、早くも最終決戦の様相を呈した感もある本巻の終わりを見ると、もしかしたら次巻で完結かも?と思わせる感じで“駒”が揃いつつあるのだが、護衛剣士を敵視する綺煌の本意は未だ藪の中である。これがどういった形で日の目を見るのか、そもそも護衛剣士に敵対する意図や理由は何なのか。意外な大物の登場も予見されており、この辺りを楽しみにして次巻を待ちたい。
DSK
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