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2020/05/18

阿刀田高の「男女シリーズ」とでも言うべきか、ホラー・怪談短編集。 ある日、帰りにタクシーの運転手に突き飛ばされ、頭を強く打った日、家に帰ると知らない女がいた。次の日はいつもの妻と、もらってきたという絵。昨日の知らない女とよく似た女性が描かれている。それから帰宅すると時々現れる、...

阿刀田高の「男女シリーズ」とでも言うべきか、ホラー・怪談短編集。 ある日、帰りにタクシーの運転手に突き飛ばされ、頭を強く打った日、家に帰ると知らない女がいた。次の日はいつもの妻と、もらってきたという絵。昨日の知らない女とよく似た女性が描かれている。それから帰宅すると時々現れる、絵に似た女性を、殺してみようかと…。(紙の女) 男女シリーズということもあり、アダルトな男女間の、はよ言うたらセックス話が中心の短編集。紹介した話も、短編にネタを3つ4つと盛り込み過ぎなくらい盛り込まれており、文学であったり音楽であったりという、凝ったバックグラウンドもあるので、一つ一つが重みのある良作に仕上がっている。 ただ、ホラーや怪談と考えると、あんまりあっちこっちにネタやメカニズムを分散させるのはあまり感心しない。紹介した『紙の女』については、4つほど、きっかけ、背景、メカニズムを盛り込んでいて、結局どれやってん?とぼやけた終わり方をしてしまっている。 また、阿刀田高の特徴でもあるが、最終的にいつもの2つ不満な点が残ってしまう。ひとつは女性の思考というものがあまり考慮されておらず、男の思うままという部分が強いこと。もう一つは、シャレオツなブンガクにしようとして、叙情的に〆ようとするも、最後の数行にオチを無理やり詰め込んで、ホラーにしたいのかどうかわからない作品が散見されること。 実は電子書籍で読んでんですが、最後2行で落とそうとするような作品って、紙の書籍と違って、流してしまうんだよね。 内容的にも分量的にも、電子書籍版がおすすめなのだが、2回位読まないと印象に残らない作品も多いと思われる。

Posted byブクログ