トルストイの散歩道 全5巻 の商品レビュー

レフ・トルストイ

2014/05/17

読みやすいトルストイの短編集。それぞれの物語に教訓めいたものがあり、大きく資本主義への懐疑とキリスト教の愛の解釈に二分される。前者は人にたくさんの土地は必要か、後者は人はなぜ生きるのか、または愛あるところに神ありなどに代表される。ストレートなメッセージだが、押し付けがましくなく、日本昔話のようにすんなりと心に染み込み、どこか懐かしいような物語が多い。伝えたいこと、自らの思想を丁寧に物語に散りばめ、あっさりとしっかりと物語を紡ぐ技術がすごい。普遍的な口伝のような優しさのある本。