白い焔 の商品レビュー
男女(人間)関係の厭わしいようながらみのありようが(それとは反対の関係の断ち切れも)、巧みな物語設定の上で展開する作品集。描かれるさまざまな波乱の局面には、主人公の負うダメージがその人生(運命)にまで絡んで重く暗い影を落とすものもあって、読後は濃淡の差はあるがどれも一様に鬱とした...
男女(人間)関係の厭わしいようながらみのありようが(それとは反対の関係の断ち切れも)、巧みな物語設定の上で展開する作品集。描かれるさまざまな波乱の局面には、主人公の負うダメージがその人生(運命)にまで絡んで重く暗い影を落とすものもあって、読後は濃淡の差はあるがどれも一様に鬱とした重苦しい(苦々しい)後味が残る。そんな暗鬱の澱みに引きこむ巧さはしかし技巧の勝った器用さとも評せられるものだろう。それでも特に『奇禍』の展開など秀逸で、表題作『白い焔』の登場人物に向けられる眼の確かさ(洞察)には感心させられた。
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