霊界と哲学の対話 カントとスヴェーデンボリ の商品レビュー
スウェーデンボリの「神秘な天体」と、それを受けてのカントの「形而上学の夢によって解釈された視霊者の夢」を掲載。 スウェーデンボリの論文が「いかにしてもろもろの霊がこの世を覗くことができるようになるのか」というテーマで「自らの経験」を通して短く語っているのに対して、 カントは...
スウェーデンボリの「神秘な天体」と、それを受けてのカントの「形而上学の夢によって解釈された視霊者の夢」を掲載。 スウェーデンボリの論文が「いかにしてもろもろの霊がこの世を覗くことができるようになるのか」というテーマで「自らの経験」を通して短く語っているのに対して、 カントは、 しょっぱなから「霊界は空想家がでっち上げた楽園である」と痛烈な批判を浴びせている。そして、さまざまな方向から長きにわたって理性の限界と霊界の認識の可能性を批判。 最後は、疲れ切ったように「われわれはおのれの幸福を心配しよう。庭に行って働こうではないか」という言葉で締めくくっている。 スウェーデンボリの霊界思想については、同時代においても様々な賛同や批判があったようで、それに関する書簡も収められている。 現代のスピリチュアリズムは完全に「学問」から逸脱した形でもっぱら「女性雑誌」や「お茶の間」でのテーマであるが、 カントの時代にそういう真面目な議論が行われていたことは現代でも注目に値するのではないだろうか。 「霊界」思想の需要は今も昔も普遍的にあるようなので・・・。
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