はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか の商品レビュー
どれも面白いが少し篠田節子さんらしくないような、でもやっぱり篠田節子だぁと思うような話ばかりでした。最後の「エデン」がいつまでも心に残ります。
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今までに読んだ事ないタイプの短編集。 駿河湾で、レアメタルを体内にためこんだウナギが発見される「深海のEEL」と、外界と隔絶された村で何十年もトンネルを掘り続ける「エデン」の2作に、どこか通じるものがあって興味深かった。 他のものに取って代わられれば価値がゼロになるレアメタルを、...
今までに読んだ事ないタイプの短編集。 駿河湾で、レアメタルを体内にためこんだウナギが発見される「深海のEEL」と、外界と隔絶された村で何十年もトンネルを掘り続ける「エデン」の2作に、どこか通じるものがあって興味深かった。 他のものに取って代わられれば価値がゼロになるレアメタルを、血眼で奪い合う世界って、やっぱ狂ってるのだろうか。今を、俯瞰で見る視点を与えてくれる一冊。
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4つの短編はまさしくサイエンスフィクションといった感じの理系空想小説でした。パラジウムウナギの話も面白かったけど、ロマンティックな表題作も捨て難く、ユートピアを描いた「エデン」も良かったです。
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4 つの短(中)編からなる作品集。 3 つ目までは、 篠田節子ってこんな軽いタッチの作品を書く人だっけと思った。 表層部分のみでポンポンと話が進む。 読み易いといえば読み易いのだが、ただそれだけのような気がする。 しかし最後の「エデン」はイイね。 安部公房を彷彿とさせると云えば褒...
4 つの短(中)編からなる作品集。 3 つ目までは、 篠田節子ってこんな軽いタッチの作品を書く人だっけと思った。 表層部分のみでポンポンと話が進む。 読み易いといえば読み易いのだが、ただそれだけのような気がする。 しかし最後の「エデン」はイイね。 安部公房を彷彿とさせると云えば褒め過ぎか? この素材で長編に書き直せば、すごく面白いものが出来るような気がする。
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アンドロイドは電気羊の夢をみるか(PKD)をぱくったタイトルに引かれて読む。4篇とも趣向が違いすぎてばらばらな印象。特に気にいった短編もなし
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今回の4作は少しSFの要素を持ったもの。 「深海のELL」はウナギの物語。駿河湾の底引き網から巨大ウナギが次々に網にかかる。ウナギは海で生まれ川に上り川で成魚になるので海底から成魚があがるのからして不思議なのに、目が異様に光り・・ しかしなんとか売りさばいた先でそれを食べた人は...
今回の4作は少しSFの要素を持ったもの。 「深海のELL」はウナギの物語。駿河湾の底引き網から巨大ウナギが次々に網にかかる。ウナギは海で生まれ川に上り川で成魚になるので海底から成魚があがるのからして不思議なのに、目が異様に光り・・ しかしなんとか売りさばいた先でそれを食べた人は次々と異常をきたす。・・とくれば、何、何?となる。光るのはレアメタルで、それをめぐって回転寿司チェーンと、貴金属産出を狙う大企業が絡み、庶民の口にのぼるスシネタは実は・・ 「豚と人骨」は、都会の一等地を遺産相続することになった3兄弟。親の敷地を更地にし、そこにマンションを建てようと地面を掘ったら、さあタイヘン。古代人の、しかも女性ばかりの人骨がたくさん出てきてしまったのだ。一体これは何だ? 今まで顔も見せなかった妹弟が相続時に遺産分配のためにやってくる。長男の務めを果たし、親と妻に文句を言われながら、やっと親を看取った・・片付けた、とさりげなくこういう文章も入っているのは篠田さん自身一人っ子で親の重圧の実感があるからか。 「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、メルヘンがらみの人工知能の話。 「エデン」これが一番よかった。寺の跡取りのハルユキは修行に入る直前の休暇を楽しんでいたが、訳も分からず追われる身となり、クラブで知り合ったブレンダの手引きで逃げ延びた・・ようなのだが、連れて行かれたのはさる極寒の地。そこでは63年の工期で地下にトンネルを掘る工事をしていた。ちょうど工期は30年くらいが終わったところだった。村人はテレビも見ず娯楽の本も読まず、唄うのは賛美歌、夕食を食べれば8時には皆眠りに付く。そして朝からトンネルを掘る。地面が凍る真冬の2週間が唯一外界とつながる期間。その他は泥湿地で陸の孤島となる地。 食って寝て働いて子供を作って・・ エデン・理想の郷とは何か? 63年後の「あっちの世界」はどうだったのか。地下トンネルの向こうから深く問いかけられる。
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4作品を収録した短編集。 一番興味深く読めたのは「深海のEEL」 駿河湾で、巨大化したうなぎが大量に網にかかった。 その出だしから引きこまれた。 他の3作品もそれぞれに楽しんで読めた。 ★5つにしようか迷ったが、もう少し書き込んでほしかったという気持ちで ★★★★
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篠田ワールドを堪能。 こういうおぞましさ、好きだなあ。 レアメタルを蓄積したウナギ、縄文時代から蘇った寄生虫、猿の意識を持つロボット、人里離れた土地に掘られるトンネル、四編それぞれの世界に引き込まれる。
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やや不思議な感じのする短編集。幻想のようであり、SFのようであり。特に「深海のEEL」は、現代の環境問題やいろいろを皮肉るような部分もあるなあ。 お気に入りは表題作「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」。これ、序盤はとってもホラー的に思えました。怖いよね実際。でもあきらかになる真相と...
やや不思議な感じのする短編集。幻想のようであり、SFのようであり。特に「深海のEEL」は、現代の環境問題やいろいろを皮肉るような部分もあるなあ。 お気に入りは表題作「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」。これ、序盤はとってもホラー的に思えました。怖いよね実際。でもあきらかになる真相と、あのものの正体・その意図を思えばなんだかほんわか。
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短編集(深海のEEL、豚と人骨、表題作、エデン) 落ちていく先を想像しつつ、少しその枠からはみ出たところが落としどころ。ええっと思いつつ、読後感は悪くない。
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