資本主義の文化的矛盾(下) の商品レビュー
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1976年の著作。現代社会を三個の別個な領域(”経済””政治””文化”)と捉える。そして、本来一体であったはずの三領域がバラバラになってきており、それぞれの目標(経済は”効率”、政治は”平等”、文化は”自己充足”)が相容れないものであるため、各々の領域がその目標を指向すればするほど、時と共にその矛盾が大きくなっていると指摘。その中でも特に”文化”の危機(例えばプロテスタントの倫理から快楽主義への変遷)を西洋の資本主義の矛盾の大きな要因としつつ、三領域のバラバラになる経過を記述。また、下巻にてこの現代社会への処方箋も記載されているがちょっとわかりにくかった。 著者は西洋社会を対象として記載しているので、日本も全く同じかどうかについては明言されていないが、個人的には上記三領域の相反状況については同じと思う。結局の所、過去において、例えば宗教が担っていた三領域を統一しうる理念を創出するものが現代社会には欠けてしまったということでしょうか。 35年前の書籍ですが興味深く読めました。なお、著者は今年1月、91歳でご逝去されています。
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