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カラクテール(上) の商品レビュー

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2016/01/01

コンデ公の孫にあたるブルボン公の教育係であったラ・ブリュイエールによる「性格論」。文学ジャンルとしてはテオフラストス以来の伝統があるが、単に有徳な人物の諸特性を描き出すだけではなく、毒のこもった風刺や同時代の文化への意見など、様々な点からして興味深い著作。本巻では、文学、真価、女...

コンデ公の孫にあたるブルボン公の教育係であったラ・ブリュイエールによる「性格論」。文学ジャンルとしてはテオフラストス以来の伝統があるが、単に有徳な人物の諸特性を描き出すだけではなく、毒のこもった風刺や同時代の文化への意見など、様々な点からして興味深い著作。本巻では、文学、真価、女性、心情、社交、財産、市民がそれぞれ主題となっているが、著者の古典主義(コルネイユやラシーヌの称賛とその裏返しとしてのフォントネルなど近代派への皮肉)、真の美徳を備えない人々(徴税請負人など)に対する皮肉など、偉大なる世紀の価値観と著者自身の価値観を余すところ無く伝えてくれる。当時の文学情勢や社会情勢については、訳注でおおよそは分かる(ただしフランス語ママの単語には辟易する)ので、17世紀後半から18世紀前半のフランス社会についてそれほど情報を持っていない人間にも親しみやすくなっている。

Posted byブクログ