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日本文化史概論 の商品レビュー

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2021/06/05

おなじ石田一良が編集を担当している『日本思想史概論』(1963年、吉川弘文館)の姉妹編で、文学・芸術・思想など文化史全般の解説をおこなっている本です。 1968年に刊行された本なので、現在では妥当ではないとされる記述がところどころに見られます。たとえば文化人類学者の石田英一郎が...

おなじ石田一良が編集を担当している『日本思想史概論』(1963年、吉川弘文館)の姉妹編で、文学・芸術・思想など文化史全般の解説をおこなっている本です。 1968年に刊行された本なので、現在では妥当ではないとされる記述がところどころに見られます。たとえば文化人類学者の石田英一郎が執筆を担当している「民族文化の形成」の章では、江上波夫の「騎馬民族説」が紹介されていますが、この説に対しては佐原真らの厳しい批判がなされていることはよく知られている通りです。 序章の「文化史学と日本文化史」は、編集者の石田一良が文化史学研究の方法論について独自の考えを語っています。石田は、文化史の研究対象にかんして、「形そのものが見える」対象をあつかう「事件史」、「形に即して認められる」対象をあつかう「様式史」、「形において洞察される」対象をあつかう「精神史」に分類しています。また、事実的連関の把握・作用的連関の把握・意味的連関の把握という三点から成る底面と、変化生成の把握という頂点によって構成される四面体を示し、文化史の研究方法についての考察を展開しています。 最終章「戦前の思想と戦後の動向」は、近代から現代にかけての日本の精神史的状況の変化について、執筆者の竹山道雄がエッセイに近いスタイルで語る内容になっています。

Posted byブクログ