河合隼雄著作集(4) の商品レビュー
『子どもの本を読む』(光村図書・楡出版)と『ファンタジーを読む』(楡出版)を収録しています。いずれも児童文学の名作をとりあげながら、外的な現実と内的な現実の両者に渡る「たましい」の成長を読み解いています。 『子どもの本を読む』でとりあげられているのは、エーリヒ・ケストナー『飛ぶ...
『子どもの本を読む』(光村図書・楡出版)と『ファンタジーを読む』(楡出版)を収録しています。いずれも児童文学の名作をとりあげながら、外的な現実と内的な現実の両者に渡る「たましい」の成長を読み解いています。 『子どもの本を読む』でとりあげられているのは、エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』、フィリパ・ピアス『まぼろしの小さい犬』、J・ロビンソン『思い出のマーニー』、今江祥智『ぼんぼん』他、ペーター・ヘルトリング『ヒルベルという子がいた』、A・リンドグレーン『長くつ下のピッピ』他、ルーマー・ゴッデン『ねずみ女房』、長新太『つみつみニャー』他、佐野洋子『わたしが妹だったとき』です。 一方『ファンタジーを読む』でとりあげられているのは、キャサリン・ストー『マリアンヌの夢』、ルーマー・ゴッデン『人形の家』、A・リンドグレーン『はるかな国の兄弟』、ポール・ギャリコ『七つの人形の恋物語』、フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』、メアリー・ノートン『床下の小人たち』、M・マーヒー『足音がやってくる』、ル=グウィン『ゲド戦記』1~3巻です。 著者のバックボーンとなっているユング心理学を正面に押し出すことは控えられ、ファンタジー作品の豊かさそのものを描き出すことに、著者の努力が注がれているように感じました。まだ読んでいない作品もぜひ手に取ってみたいと思わずにはいられません。
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