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密閉国家に生きる の商品レビュー

4.6

11件のお客様レビュー

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2024/03/23

映画「ビヨンド•ユートピア」を観て「7つの名前を持つ少女」とともに読んだ本。 こちらはロサンゼルス•タイムズのバーバラ•でミックさんがいろんな脱北者の方にインタビューした作品。北朝鮮時代の悲惨な状況が当事者からリアリティを持って伝えられているところがよかった。(日本人が想像して書...

映画「ビヨンド•ユートピア」を観て「7つの名前を持つ少女」とともに読んだ本。 こちらはロサンゼルス•タイムズのバーバラ•でミックさんがいろんな脱北者の方にインタビューした作品。北朝鮮時代の悲惨な状況が当事者からリアリティを持って伝えられているところがよかった。(日本人が想像して書く北朝鮮とは微妙な誤差が出るだろう) ジュンサンとミランについて二人とも違う時期に脱北したため、結ばれることはなく、祖国への思いも微妙に異なるという切なさもあったが彼らも含め脱北者や北朝鮮の一般市民の方が一日も早く人間らしい生活を送れるようになってほしいと感じた一冊。「7つの名前を持つ少女」よりもより一般の北朝鮮の一般市民の方のいろいろな生活が見えて考えさせられた。

Posted byブクログ

2014/09/30

ロサンゼルス・タイムスの記者が脱北者にインタビューを行い、北朝鮮の日常生活を人間的な側面から描いたもの。 特徴的なのは、平壌からもっとも遠く見捨てられた地である「清津市」に住んでいた脱北者に絞られているということ。 北朝鮮住民の生活は、住んでる場所や細かく分けられた階級などによ...

ロサンゼルス・タイムスの記者が脱北者にインタビューを行い、北朝鮮の日常生活を人間的な側面から描いたもの。 特徴的なのは、平壌からもっとも遠く見捨てられた地である「清津市」に住んでいた脱北者に絞られているということ。 北朝鮮住民の生活は、住んでる場所や細かく分けられた階級などによってずいぶん違うため、「北朝鮮の人びと、生活」という点が見出しにくい。そこで著者は、清津市に住んでいるという点に絞り、様々な年齢、さまざまな階級の人に焦点を当てる。 時期は金日成の死、「苦難の行軍」と呼ばれる90年代後半頃である。 真っ暗な夜道をただ歩くだけというデートをしていた若いカップル、党への忠誠心が強く恵まれた生活をしていた女性、そんな母の娘でありながらまったく忠誠心を持っていなかった「問題児」、無償で教育を受けることができたことを感謝して忠誠を尽くしてきた女医、清津市は配給がもっとも早く止まったため盗みをしながら生きていた少年・・・・ 彼らの背景はそれぞれで、金日成の死に感じた感情や、苦難の時期の生活もバラバラだ。 だが、そんな全ての生が清津市という1つの都市で展開されていたという点が興味深い。 脱北にいたる過程もさまざまだが、韓国での生活もまたそれぞれだ。 韓国で裕福な男性と結婚し、安定した生活を送っている人、韓国政府に渡された定着金を詐欺で奪われてしまう人、家族を脱北させるためのお金を準備するため借金地獄に陥る人・・・ 著者は6人の脱北者の生を丁寧に描き出す。 単にあの北朝鮮に住む人たち、マスゲームで一糸乱れぬ動きをする不気味な人びと、ではない。恋愛をし、学び、家族や恋人を想いながら生きてきた人びと。苦難の時代に餓死する人々を横目に工夫を凝らしてなんとか生き延び、そのことに罪悪感を感じながら生きている人びと。 等身大の「北朝鮮出身の人びと」を知ることのできる良書である。

Posted byブクログ

2014/06/21

北朝鮮では買い物の必要はない。理論上は人民が必要とするものはすべて政府によって与えられるから。貨幣もまたなきに等しい。

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2013/11/20

従軍慰安婦について事実であるかのような書き方があった点以外は高評価。 崩壊する前に一度訪朝してみたい。

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2012/10/21

本を読むのはわからなかったり迷ったりするときであって、そういう意味では北朝鮮の本を読む動機があまりなかった。北朝鮮=ネガティブ、で決まりだったから。でもこの本はふと読む気になって、読んで正解だった。 インタビューに登場する脱北者たちが、死を賭して自由を求める闘士でも、政治的に北に...

本を読むのはわからなかったり迷ったりするときであって、そういう意味では北朝鮮の本を読む動機があまりなかった。北朝鮮=ネガティブ、で決まりだったから。でもこの本はふと読む気になって、読んで正解だった。 インタビューに登場する脱北者たちが、死を賭して自由を求める闘士でも、政治的に北に対抗する革命者でもなく、ぼくも北朝鮮に生まれていたらそうだったかもしれない普通の人であることにショックを受けた。普通の人が逃げだす国が、どうして国として存続しているのだろう? 逃げ出せない普通の人は、今どうしているのだろう? ここからたいして離れていないところで、いま、どうしてそんなことが起きるのだろう? 足元がぐらりと傾くような、この現実。

Posted byブクログ

2012/05/16

脱北者の話から、北朝鮮の生活を叙述。テンポのいい文で読み易かった。氷山の一角なのだろうけど、また違う視点から接せられてよかった。この著者の作業。

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2012/04/25

お恥ずかしながら国際情勢などに疎くかなり不勉強なのですが、 そんな私でもすんなり読めました。 読んでいて時々、私などが生まれるずっと前(戦時中)の話かな、などとタイムスリップしてしまいますが、割に最近の出来事で驚くばかり。 90年代の飢餓のころだったか「木の皮を食べてるらしい...

お恥ずかしながら国際情勢などに疎くかなり不勉強なのですが、 そんな私でもすんなり読めました。 読んでいて時々、私などが生まれるずっと前(戦時中)の話かな、などとタイムスリップしてしまいますが、割に最近の出来事で驚くばかり。 90年代の飢餓のころだったか「木の皮を食べてるらしい」「(食用のため)街の犬がいなくなったらしい」などとうっすら聞いて驚いたことがありましたが、そんなの全然甘っちょろかった。 外部の情報を遮断され、内部のねつ造された情報を信じて疑わない人々。心が痛みます。 登場するひとりの人物が盗み聞いた国外の情報で、アメリカからの食料とエネルギー支援を断り、国家が核とミサイルを選んだのを知った時の気持ちは計り知れない。 何よりも一日も早く、罪無い人々の飢餓がなくなりますように。 バラバラになった家族が再び会うことができますように。 生きる、ということが、実はとても必死でそして尊いものだと感じました。

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2012/04/07

北朝鮮から逃れた六人の物語が生々しく、哀しく、そして美しく語られる。あからさまな北朝鮮批判ではなく、辛く厳しい北朝鮮での生活から逃げ出した人々の視点から見た個人的な体験が描かれている。21世紀に北朝鮮の体制が生き延びているのは著者と同様に驚くしかない。この本の登場人物たちは実は自...

北朝鮮から逃れた六人の物語が生々しく、哀しく、そして美しく語られる。あからさまな北朝鮮批判ではなく、辛く厳しい北朝鮮での生活から逃げ出した人々の視点から見た個人的な体験が描かれている。21世紀に北朝鮮の体制が生き延びているのは著者と同様に驚くしかない。この本の登場人物たちは実は自分とそれほど変わらない年齢だ。こんな風に人生を踏みにじられたら自分は何ができただろう。 先がないのを誰もが予想できる国家を維持している指導者たちは何を考えているんだろう。窮乏にあえぐ国民はこの本に書かれたような悲惨な状況を今もまさに経験しているだろう。

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2011/11/30

北朝鮮に生きる六人の普通の人の人生を、細部に渡り生き生きとよみがえらせた描写力。近年まれに見る素晴らしい本でした。著者のジャーナリストとしての力量がうかがえます。今年読んだものの中で、ベスト1かもしれません。

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2011/09/20

書き出しがいい。極東上空から夜間撮影した衛星写真。韓国、日本、中国に小さな光りの点がたくさんある中で、何の明かりもない暗黒部分が半島の北半分にある。まさブラックホールのような北朝鮮だ。内部の情報がほとんど伝わらないことから、何だか薄気味悪い印象を持ちがちな北朝鮮だが、そこには23...

書き出しがいい。極東上空から夜間撮影した衛星写真。韓国、日本、中国に小さな光りの点がたくさんある中で、何の明かりもない暗黒部分が半島の北半分にある。まさブラックホールのような北朝鮮だ。内部の情報がほとんど伝わらないことから、何だか薄気味悪い印象を持ちがちな北朝鮮だが、そこには2300万の国民がいるわけで、ひとりひとりが顔、つまり個性を持っているわけで、決して感情のないロボットではないし、洗脳されきった狂信者の群ではないはずだ。そのことを、ロサンゼルス・タイムズの特派員だった著者は丹念なインタビューで知らせる。  この謎の国に対する見方を変えてくれる好著だ。  崔洋一監督の映画「月はどっちに出ている」で出てくる「オレは朝鮮人は嫌いだけど、金さんのことは好きだよ」というセリフを思い出す。  そこに住むのは朝鮮人という一緒くたの人間ではなく、金さんであり、崔さんであり、車さんというひとりひとりだということを改めて肝に銘じた。

Posted byブクログ