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空白の起点(上) の商品レビュー

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2009/10/04

この冒頭を読んで期待を感じない読者はいないと思う。事件のあらまし、登場人物、それらが列車に詰め込まれ、細部までクリアに語られている。話は暗くて重くて、そして冷たい。ストーリー全体の質感や温度を把握できる作家だと思った。探偵役が足を使って真相を探る話なのだが、スムーズな場面展開、人...

この冒頭を読んで期待を感じない読者はいないと思う。事件のあらまし、登場人物、それらが列車に詰め込まれ、細部までクリアに語られている。話は暗くて重くて、そして冷たい。ストーリー全体の質感や温度を把握できる作家だと思った。探偵役が足を使って真相を探る話なのだが、スムーズな場面展開、人物描写や会話は容赦がなく隙もない。なので、本を読む体感速度が上がったような気になる。各章のタイトルも巧い。残酷だが言い得て妙だ。伏線やトリックは小粒だが、不満や違和感は感じなかった。“ミステリ”というよりも“推理小説”といった感じか。“小説”を読ませてくれるミステリ作家には滅多に出逢えないので、それだけでも大きな収穫があったというもの。

Posted byブクログ