僕だけの若未亡人 の商品レビュー
可愛い嫉妬が胸キュンなラヴコメ全開作品
一言で申せばラヴコメ。それも思いっきり全開なラヴコメである。プロローグの9頁で舞台設定から人物相関、管理人のメインヒロインと下宿人な大学生主人公の数年に及ぶ時間経過、それに双方が秘めた想いまでもがコミカルに描かれており、ここで面白そう!と感じたらならば、この典型的な三角関係の恋愛...
一言で申せばラヴコメ。それも思いっきり全開なラヴコメである。プロローグの9頁で舞台設定から人物相関、管理人のメインヒロインと下宿人な大学生主人公の数年に及ぶ時間経過、それに双方が秘めた想いまでもがコミカルに描かれており、ここで面白そう!と感じたらならば、この典型的な三角関係の恋愛ドラマを存分に楽しめるであろう。弓月印な官能ラヴコメ物語の始まりである。 と言っても、オンボロ下宿の管理人さんと下宿生との物語なので、その基本は『めぞん一刻』的世界観に彩られるのはある意味必定。管理人さんが29歳の未亡人なのも、これに繋がる鉄板の設定となる。普段は甲斐甲斐しく世話を焼きつつ、大学の後輩という令嬢の対抗ヒロインが現れては可愛らしく嫉妬する管理人さんである。また、この管理人さんの存在を意識しつつも主人公ラヴを前面に押し出してくる対抗ヒロインにも別種の可愛らしさがあり、優柔不断なヘタレ主人公に何でこうもイイ女が群がるのかなぁ~?という、まぁ、いつものパターンにはなるのだが、このお人好しな主人公もまた憎めないキャラでヒロイン達の母性的庇護欲を刺激しているのである。あぁ、羨ましい。 官能面はまずまず。弓月作品として可もなく不可もなくといったところか。チェリーな主人公に対抗ヒロインも生娘なので若干おっかなびっくりなところがあり、作風の面からも爛れた淫らさとは異なる方向となっているのであろう。手扱きからお口奉仕、パイズリと順を踏んで描かれ、合体は念願成就とセットになっているので終盤に持ち越されるのは致し方ないところか。欲を言えば、願いが果たされて心と体の扉を開放した管理人さんの最後はもっと乱れてもよかったかな?という気もする。 2人ヒロインの主人公奪い合い展開における弓月作品は、大体において対抗ヒロインが不憫に思えてくるのだが、本作ではこの点を上手に纏めており好印象。対抗ヒロインにもエールを贈りたくなるハートウォーミングかつ最後までコミカルな結末を迎えることで得られる読後感も非常に良好である。こんな内容なら別の文庫で書けば?との意見が出るかもしれないが、敢えて「黒本」で読むのも一興かと。
DSK
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