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福島原発事故はなぜ起きたか の商品レビュー

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2012/02/14

 本書は原発反対派・慎重派の学者による福島原発事故の解説書である。そのわかりやすい原発事故の詳細な内容は、高く評価できると思った。福島原発事故については、新聞やテレビ等のマスコミでも相当詳しく報道されているが、なかなか体系的な知識を得るというわけには行かない。その点、本書はイラス...

 本書は原発反対派・慎重派の学者による福島原発事故の解説書である。そのわかりやすい原発事故の詳細な内容は、高く評価できると思った。福島原発事故については、新聞やテレビ等のマスコミでも相当詳しく報道されているが、なかなか体系的な知識を得るというわけには行かない。その点、本書はイラストも多用し、文書も難解な専門用語も少なく理解しやすいものとなっていると感じた。  本書を読んで、福島原発事故の将来にわたる危険性と問題点を改めて憂慮した。やはり、原発は人類にとって「パンドラの箱」だったのではなかったのかとの思いを持った。人間は、このような巨大技術を制御しきれるほど完全では無いとの思いをもつものである。  エネルギー源として原子力が大きな可能性を持っていることは重々承知できるが、人類は既に「チェルノブイリ」「スリーマイルアイランド」「福島」と、原発の大きな事故を3回も経験している。今後も完全に事故を防ぐことはできないのではないのかと、誰しもが考えるのではないのだろうか。本書を読めば「想定外」の言い訳は通用しないことがよくわかる。  それにしても、今まで「5重の安全」などをマスコミや説明会等で吹聴していた原発推進派学者達の無責任さを痛感するものである。事故後は、みな黙ってしまったようだが、だれひとり学者として反省の言葉を表明したとは聞かない。一人ぐらい学者としての良心を吐露する人間はいないものかと思った。  一度環境に放出された放射性物質を全て回収することなどはできるものではない。本書を読んで、火山国・地震国であり、狭隘な国土のわが国を思うと、長い目で見れば、原発より脱却することが、わが国の国家利益となるのではないのかとの思いをもった。本書は福島原発事故を理解するための必読書であると高く評価したい。

Posted byブクログ