正信偈の世界 の商品レビュー
『正信偈入門』(1990年、法蔵館)や『教行信証入門(正信偈・上)』(1993年、日本放送出版協会)などのなかから、親鸞の「正信偈」について解説している文章などを収録しています。また、恵信尼や蓮如にかんする論考も収められています。 「正信偈」は、『教行信証』の「行巻」末に置かれ...
『正信偈入門』(1990年、法蔵館)や『教行信証入門(正信偈・上)』(1993年、日本放送出版協会)などのなかから、親鸞の「正信偈」について解説している文章などを収録しています。また、恵信尼や蓮如にかんする論考も収められています。 「正信偈」は、『教行信証』の「行巻」末に置かれたもので、宗門で広く読まれていることで知られています。本巻では、「正信偈」のテクストに対する著者の注釈や解説文などがまとめられています。 著者はまず、「正信念仏偈」という題名について考察をおこない、「念仏を正信する人をたたえる偈」という意味で理解することができると主張します。そのうえで、仏教はなによりも求道者の仏教だとする著者の仏教理解を示し、釈尊から七人の高祖たちを経て親鸞へとこうした仏教の本質が受け継がれてきたことを、「正信偈」のテクストにそくして論じています。 もちろん親鸞の思想について学ぶうえで有益な内容ですが、「仏教は念仏である」という著者の根本的な主張がていねいに語られており、著者の仏教理解そのものについて検討をおこなううえでも重要な内容が含まれているように思います。
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