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グ、ア、ム の商品レビュー

3.2

41件のお客様レビュー

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2023/08/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2011年に購入していた積読本。苦笑 数年前に7ルールというTV番組で著者を拝見し、 こんな方なのか!と驚いた記憶です。 帯は、 ------------------------- この人たちに自分のペースを乱されたくない。 この、自己顕示欲の塊たちに。 母・姉・妹の女三人海外旅行 イタくて笑えるゼロ年代の家族小説 ------------------------- 北陸育ちの姉妹。 姉は上京するが、就職できずワーキングプア。 妹は姉を反面教師として、高卒で地元の信用金庫に就職。 姉妹の間をとり持つように、折衷案を提示し続ける母。 女たちにケツの毛まで毟り取られた父。笑 姉妹の微妙な関係や距離感と、 両親の二人への愛情(?)と。 父と飼っているウサギはお留守番で、 姉妹と母でグアム旅行に行く話。 いるかも、あるかも、こういう家族。 私だって兄とべたべた仲良い訳ではないし、 思春期の頃なんて本当に仲が悪かったし。 姉妹で仲良い友達を見てうらやましかったり。 どちらも可愛い子どもという、 両親の気持ちも この年になってわかるようになった気がします。 以前、7ルールに編集者の助宗さんが出ていて、 家族というのはチームプレーで、 家族というチームをみんなでうまく回していくための 役割でしかない、みたいなことを言っていて。 だから誰が稼いでも、誰が家事をやっても、 それは家族としてバランスをとって 機能していくための役割だと。 この本を読んでいて、 なんとなくそれを思い出しました。 グアムで珍道している間に、 父は父で戦いを繰り広げていた…みたいな最後は特に。笑 完全に余談ですが、 どうして今…みたいなタイミングで生理になっちゃう気持ちも痛いほどわかりました。笑 短くてすぐ読み切れます。 今いくらなのかわからないけれど、362円(税別)と書かれた値段に「安っ!」と思った私です。時代ですね。苦笑

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2017/07/21

東京で垢すりマッサージのアルバイトをしている長女と、大阪で堅実に信用金庫に就職した次女、そして2人の母親が、今にも爆発するのではないかという一触即発の関係を抱え込んだまま、台風のさなかグアム旅行に出かけるという話です。 1970年代に、著者と同じく劇作家の山田太一が『岸辺のアル...

東京で垢すりマッサージのアルバイトをしている長女と、大阪で堅実に信用金庫に就職した次女、そして2人の母親が、今にも爆発するのではないかという一触即発の関係を抱え込んだまま、台風のさなかグアム旅行に出かけるという話です。 1970年代に、著者と同じく劇作家の山田太一が『岸辺のアルバム』で当時の家族の問題を鋭く衝き、大きなインパクトを与えましたが、本作にも現代の家族の問題を描きつつ、コミカルな方向へ突き抜けるような衝迫力を感じました。 前作『生きているだけで、愛』もシニカルなホーム・ドラマで、やや印象が重なるところはありますが、おもしろく読めました。

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2017/03/03

性格真逆で不仲の長女と次女、そんな二人の間でおろおろ仲をとりもとうとする母。 そんな女三人の三泊グアム旅行。 フリーターでわがままの身勝手な長女と、信用金庫勤めで堅実な現実主義の次女という組み合わせが妙にリアルだわ。 姉はしっかり者、妹は奔放マイペース、みたいな世間一般のイメージ...

性格真逆で不仲の長女と次女、そんな二人の間でおろおろ仲をとりもとうとする母。 そんな女三人の三泊グアム旅行。 フリーターでわがままの身勝手な長女と、信用金庫勤めで堅実な現実主義の次女という組み合わせが妙にリアルだわ。 姉はしっかり者、妹は奔放マイペース、みたいな世間一般のイメージとは違いますよね。 私自身は姉でもあり妹でもある立場なので、両方の言い分に共感できました(どちらかと言えば妹寄り)。 物語にただよう一触即発の空気と、本谷有希子の独特なユーモアセンスにニヤニヤがとまらなかった。 旅行終盤のがむしゃらとまで言える決死の思い出づくりから、ラストまでの展開もこの家族らしさがあって良かった。 本谷有希子の小説すべてがツボだわ。

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2017/01/23

我が儘な姉、しっかり者の妹、日和見的な母の3人がグアムに旅立つことになる。 心がばらばらでスタート。 途中で、心のうっぷんが湧きだし、もめる。 いい方向にまとまらず、3人が抱え持つ問題も解決せず、不運続きなだけの旅行が終わる。 人気の作者さんらしいけど、我が儘で無計画なだけの姉...

我が儘な姉、しっかり者の妹、日和見的な母の3人がグアムに旅立つことになる。 心がばらばらでスタート。 途中で、心のうっぷんが湧きだし、もめる。 いい方向にまとまらず、3人が抱え持つ問題も解決せず、不運続きなだけの旅行が終わる。 人気の作者さんらしいけど、我が儘で無計画なだけの姉が鼻につくだけで、中身がなかった。。。

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2016/05/04

姉妹ってこんなにもいがみ合うものなのか? わたしは弟なのでこんなに距離感が近くない 兄弟でもどこか他人なんだな。 でも下の子は上みたいには絶対ならないとかああいう風にやったらいかんとか反面教師で生きてるから世渡り上手だし、逆に上はやって学ぶから図太くなれるし 家族それぞれのポリ...

姉妹ってこんなにもいがみ合うものなのか? わたしは弟なのでこんなに距離感が近くない 兄弟でもどこか他人なんだな。 でも下の子は上みたいには絶対ならないとかああいう風にやったらいかんとか反面教師で生きてるから世渡り上手だし、逆に上はやって学ぶから図太くなれるし 家族それぞれのポリシーがある 嫌いあっているようで根っこはお互い信頼してる くだらない言い合いこそ家族 渦中にいるのはしんどいだろうけどいい家族に出会えた

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2015/12/17

 父を日本に残し、母と姉妹の三人でグアムへ旅行する話。家族同士の滑稽でくだらないやりとりの描写が絶妙で何度もクスリとした。家族の嫌なところはたくさんあるけど縁が切れるわけでもないので我慢するしかないという諦念や、母や姉(妹)のようにはなりたくないという反発、同じ女同士だからこその...

 父を日本に残し、母と姉妹の三人でグアムへ旅行する話。家族同士の滑稽でくだらないやりとりの描写が絶妙で何度もクスリとした。家族の嫌なところはたくさんあるけど縁が切れるわけでもないので我慢するしかないという諦念や、母や姉(妹)のようにはなりたくないという反発、同じ女同士だからこその対立など、あるあると頷ける感情がそこかしこに散りばめられていたけれど、結局は嫌いになりきれないものだなぁと思う。皮肉とおかしみがちょうど良く混ざりあっていてとても面白い作品だった。

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2015/09/20

電車内で笑いをこらえるのに苦労した。 そういう経験がなかなかない私には稀有な小説。 「テロリストやと思われるぞ、おかん」 裏日本からは逃れられない。 装丁もGOOD。

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2014/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【本の内容】 北陸育ちの姉妹。 長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。 そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。 姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不隠なムードに…。 時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。 [ 目次 ] [ POP ] 北陸出身の姉妹と母が3人で初の海外旅行へ。 東京在住の姉はワーキングプアで自分勝手、ギャルファッションに身を包む妹は姉のようになるまいと堅実に暮らす。 ぶつかる2人の間で気を揉む母はどこかマイペース。 ハプニング続きの道中と独特のセンスが炸裂する会話に笑いながら、リアルな心情に胸を突かれる。 劇作家として活躍する著者の新感覚家族小説。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ]

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2014/06/03

ほんと面白かった。 娘しかいないお父さんって、このタイプ多いよね、と。 サービス精神が溢れてしまっているかんじ。 方言の会話がテンポ良くて、読んでいるうちに自分が おもち(何代目?)になって一家と一緒に過ごしているような。 帰宅時に何か読みたいなと職場の文庫書架で目についた一冊...

ほんと面白かった。 娘しかいないお父さんって、このタイプ多いよね、と。 サービス精神が溢れてしまっているかんじ。 方言の会話がテンポ良くて、読んでいるうちに自分が おもち(何代目?)になって一家と一緒に過ごしているような。 帰宅時に何か読みたいなと職場の文庫書架で目についた一冊を考えなしに手に取ったのだけれど、この直前に『死刑のための殺人』を読んで「砂漠のような家族」に戦慄していたので、「大丈夫、こんな家族もあるよ」と慰められた。 こういうことがあるから本の虫は止められない。

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2013/10/06

現代的な質感の言葉を繰り出しテンポよく笑える、よく出来たコント。父親の飄々さが、物語を可笑しいペーソスの上に支える。 実体不分明な匿名多数という権力としての「社会」が、誰でもない誰かを、「何か」として範疇化する。そうした言語による概念的規定を通してでしか他者を視ることができな...

現代的な質感の言葉を繰り出しテンポよく笑える、よく出来たコント。父親の飄々さが、物語を可笑しいペーソスの上に支える。 実体不分明な匿名多数という権力としての「社会」が、誰でもない誰かを、「何か」として範疇化する。そうした言語による概念的規定を通してでしか他者を視ることができないのなら、そこに在るのは、当の個人そのものではなく、「社会」が機械的に撚り出していく言葉の束以上ではない。手垢に塗れた意味の塊でしかない、という無意味、物。逆に、その範疇を通してしか自己を視ることができないのなら、「社会」という権力に翻弄された自己喪失でしかない。 「社会」に対する態度は、闘争か逃走か、二つに一つだ。取り憑かれてはいけない、翻弄されてはいけない、意識を乗っ取られてはいけない、言葉を簒奪されてはいけない。 "お前、あたしにどんだけでかいもんに勝たせようとしとれんて! 無茶言うなや! そんなん勝てんぞ! 勝てるわけねえがい! 社会やぞ?" 自分を取り巻く不全感・閉塞感の原因を自分の人生がくぐり抜けさせられた社会情勢のせいにして、自己憐憫と他世代への嫉妬に精神的平衡を保とうとする「姉」のこの科白は、「社会」が媒体を通じて流通させている「ロスジェネ世代」という用語で以て自縄自縛している当の「姉」自身への批評へと、読む者を向かわせる。 上手い具合に、針が振り切れていく以外に、無いのだろうか。 "・・・、苦悩なんて誰にでもできるということに気づいて、じゃあもうそういうのは他の人に任せよう・・・" それでも、彼女の日常は、どうしようもなく続いていく。 この作品自体、「社会」に対する笑いを帯びた一つの悲鳴じゃないか。

Posted byブクログ