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四人の女高校教師 ご褒美 の商品レビュー

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緻密な設定と妙味のある構成

全体を大雑把に捉えればタイトルやあらすじでイメージされる通りに4人の女教師ヒロインが1人の生徒(主人公)を奪い合った果てに……という安心・安定の内容である。しかし、細かな構成や設定を少しでも凝らして妙味を盛り込もうという意思を感じた作品でもある。それぞれとこっそり交わしていた密戯...

全体を大雑把に捉えればタイトルやあらすじでイメージされる通りに4人の女教師ヒロインが1人の生徒(主人公)を奪い合った果てに……という安心・安定の内容である。しかし、細かな構成や設定を少しでも凝らして妙味を盛り込もうという意思を感じた作品でもある。それぞれとこっそり交わしていた密戯が発覚した後の、ヒロイン達による修羅場一歩手前な話し合いから始まるところなどは物語の幕開けとして良い「掴み」だった。 39歳の温和な未亡人国語教師、32歳で眼鏡の似合うクールな人妻数学教師、派手で勝気な27歳の独身英語教師、幼馴染みでもある23歳の新任音楽教師……ヒロインの設定や属性は申し分無い。慈愛に満ちながら空閨を刺激されて乱れたり、ある種の達観もあって夫のある身ながら大胆だったり、強気に迫るものの教師間で結んだ抜け駆け禁止の「協定」は最も律儀に守っていたり、幼馴染みの優位性を武器に当時の呼び方をしてみたりとバラエティに飛んでいる。普段は地味なのに眼鏡を外して髪をおろした途端に妖艶さを纏い始めるなど、ベタながらナイスな瞬間があるのは素敵に抜け目のないところ。何より各ヒロインとの逢瀬の際に過去の経緯や馴れ初めといった背景を手短かに挿み込む手際の良さが短編で鳴らした作者らしいところでもある。 昼休みの空き教室や職員トイレといった好シチュエーションも組み込みながら続けられる「協定破り」に聖職者の背徳が加味されて大いに憂いながらもライバルの存在が明らかな故の対抗心もあって「本命選び」がエスカレートしていく淫猥さは存分に出ていたが、物語としては堂々巡りの一回りとなってしまったこと、そして、その行方が容易に予測できてしまうところが、この雰囲気を残しながらのストーリーを想定した時点で宿命的に避けられないところか。ほぼ唯一として気になった点である。

DSK