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温室の雑草 の商品レビュー

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2012/06/07

1人の女性の目線で描いた、1つの枠組み(社会)の中で多様化する価値観と人生を映し出した物語。 中村洋美を読むのは一作目。 主人公である陽は、今の自分自身の在り方に悩みつつも、芯の部分ではブレない女性として描かれている。 自分自身が持つ思考能力の魅力さと、現実で立ちはだか...

1人の女性の目線で描いた、1つの枠組み(社会)の中で多様化する価値観と人生を映し出した物語。 中村洋美を読むのは一作目。 主人公である陽は、今の自分自身の在り方に悩みつつも、芯の部分ではブレない女性として描かれている。 自分自身が持つ思考能力の魅力さと、現実で立ちはだかる目の前の壁に悩みつつも、温室の雑草の如くゆっくりと人生の流れに沿い生きている。 私自身はこの主人公に大きな魅力を感じた。 倦怠的な印象は拭えないが、人に見せられない葛藤や弱さを抱えながら、自分自身の価値観を信じて生きている逞しさを感じたからだ。 また文章も滑らかで読みやすい。 各・登場人物達の物語転機も的確で物語構成に無駄がない。 人それぞれ二面性の自分自身がいる。 そして様々な価値観で生きる分に、人生での収穫も苦悩も多い。 この物語で読み手に訴えたかった理論は、 『空虚な社会の中であっても、人間の生き方は様々であり自由であること』 『自分自身の価値観を信じることの大切さ』 ではないのだろうかと私は感じた。 印象に残ったフレーズは、 リズムの章* 天ぱあ先生の台詞 『止まらないこと?』 『そう。たとえ、しまった、間違った、って思っても、そのときに止まってしまわないことだ』 二人の女の絵画の章* 陽の心模様。 『いいお母さんになるよ。 これまで彼女に言い続けてきたその挨拶みたいな言葉をあの日、何も知らず口に出していた自分を思い出して私は下を向く。』 真夜中のツナの章* 安倍の台詞 『俺って、ガキのときから勉強もスポーツも出来はごくごくフツーで、でも、目立ちたがり屋で。 そういうガキが、周りの皆に注目を集めたいからって思いつくことは、面白い奴、になることで。いるでしょ?本当は大したことないのに、面白い奴、ってだけで人気者になっちゃう奴。 俺はまさにそれ。面白い奴、であり続けなければって実は必死だったりして…。 なんか、もうそういうの卒業して、変わりたいなと。』

Posted byブクログ