千姫春秋記 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大坂の陣の大阪城落城後からの、あの豊臣秀頼正室千姫の行く末を、著者らしい艶やかな文体で切り取って見せる小説。 秀頼への哀切を持ち続けながらも、今を生き、秀頼遺児の女児の行く末のために尽力していく。この女としての聖母の面を描く一方、それとは別の面も。すなわち、秀頼の想い出を共有する青年との逢瀬と不義の子とが、千姫の女の部分を開花させ、それは彼女の別の面、貞淑さとは真逆の淫の質を啓いていくのだ。 この不貞に対して千姫は平然とした態度をとり続ける姿の恐ろしいこと…。 まさに「仏魔一紙」とはこのことを指しているに違いない。
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