幽霊のはなし の商品レビュー
怪談が綴られているように思わせるタイトルだけれど、今野氏が普段唱えている幽霊についての説を、子供向けシリーズとして描き直しているもの。子供向けにしても決して平易ではなく、子供としてみたら幽霊が結局いるのかいないのか結論が出されていない、なんだかよく分からない本のではないかなと思う...
怪談が綴られているように思わせるタイトルだけれど、今野氏が普段唱えている幽霊についての説を、子供向けシリーズとして描き直しているもの。子供向けにしても決して平易ではなく、子供としてみたら幽霊が結局いるのかいないのか結論が出されていない、なんだかよく分からない本のではないかなと思う。 ただ、個人的には今野氏の書きぶりが好きで、本当にまじめに幽霊について考えているのだなあと思わされる。海外での霊、海での霊、創作の中の怪談、などと章立てた話を聞いているうちに、幽霊とは自然科学に照らして「いる、いない」と断じ切るものではなく、現世の人間のありようを反映するものであり、文化、世相、習慣、そして人間の心が生み出す思いが映し出されたものなのだ、ということがなんとなく伝わるのではないかなと思う。 鈴木琢磨の挿絵も味があってとても良い。今は古書でも高価なほうで、流通している数も少ないのではないかな。何度も読むにつけ味がわかるようになるタイプの書籍だと思うので、このまま消えてしまうのはいかにももったいない。
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