日本鍼灸の診断学 の商品レビュー
著者は鍼灸大学の教員である、有馬 義貴氏です。 本書は「日本鍼灸の診断法」について解説したものです。 有馬氏は明治鍼灸大学(現・明治国際医療大学)の大学院博士課程を98年に修了し、教員としてキャリアを重ねました。 いくつかの鍼灸養成学校を経て、現在は「常葉大学」に勤務しています...
著者は鍼灸大学の教員である、有馬 義貴氏です。 本書は「日本鍼灸の診断法」について解説したものです。 有馬氏は明治鍼灸大学(現・明治国際医療大学)の大学院博士課程を98年に修了し、教員としてキャリアを重ねました。 いくつかの鍼灸養成学校を経て、現在は「常葉大学」に勤務しています。 執筆の契機となったのは、授業で「鍼灸診断学」を担当したことです。 当初は「触診技術」の客観化を目指してデータを蓄積・分析していました。 しかし伝統医学の知識に乏しかったことから、改めて知識を蒐集し、教育しやすいように整合性の取れた理論の再構築を目指しました。 伝統鍼灸を実践する森洋平氏の協力も得て、結晶化されたものが本書です。 同書のメインテーマは「日本の伝統鍼灸が実践する診断」です。 診断に至る情報収集の四診、分析のフレームとなる弁証、治療方針を決める論治について、伝統中医学、現代中医学、日本鍼灸、日本漢方の方法論が整理されていました。 具体的な内容は次のようなものでした。 1.診断学の概論 2.望診 3.聞診 4.問診 5.切診 本書はこのように、日本で実践されている「伝統鍼灸の診断法」についてまとめていました。 診断法といっても日本鍼灸は診断と治療が混然一体となっているので、本書を通じて治療の全体像を見通せます。 日本鍼灸は感覚的で曖昧な表現が多い中で、有馬氏は中医学と比較しながらロジカルに分析してわかりやすく解説していていました。 情報量が多くテキストとしてオールインワンで使えるので、本書を入口にして専門書や古書を紐解くと理解が進むと思います。 理論の中には相互に矛盾するものもあるので、書籍の内容を臨床で検証しながら取捨選択して「自分オリジナルの鍼灸技術を作りあげる」ことが上達の流れになるのでしょう。 全400ページと圧巻の内容、まだ消化しきれていませんが良い本だと思います。 お勧めです。
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