妣の国 の商品レビュー
奥坂まやの第三句集。「妣の国」とは伊邪那美尊が司る死者の国であり、看取った母と俳句の師である藤田湘子、俳句の姉ともいえる飯島晴子が暮らす国である。跋を書いた高橋睦郎は、妣とは季語の神であり、この句集は神への供物であると指摘する。異界への扉を開く句集である。「若楓おほぞら死者にひら...
奥坂まやの第三句集。「妣の国」とは伊邪那美尊が司る死者の国であり、看取った母と俳句の師である藤田湘子、俳句の姉ともいえる飯島晴子が暮らす国である。跋を書いた高橋睦郎は、妣とは季語の神であり、この句集は神への供物であると指摘する。異界への扉を開く句集である。「若楓おほぞら死者にひらきけり」「炎天に歯車が犇めいてゐる」「るるるると先の世の音風車」「坂道の上はかげろふみんな居る」「螢火の奥やあまたの声棲める」「何か云へりわれのうしろの梅雨茸」「滝の前だんだんわれの居なくなる」「いちじく裂く六条御息所の恋」「だんだんに人でなくなる日向ぼこ」「真中より揺らぎいそぎんちやく展く」「海湛へ地球は孤独さくら貝」
Posted by
- 1