オデオン通り の商品レビュー
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低めの星3。 著者に対して、勝手にガートルード・スタインっぽいイメージを重ねていた。 もっとも、ガートルード・スタインを熟知しているかと言えばそんなことはなく、著名芸術家の伝記映画などに登場する、“イメージとしてのガートルード・スタイン”に、本書の主人公——自らが経営する書店の女主人であるアドリエンヌ・モニエ——を重ねていたに過ぎないのだが。 読中読後の印象は、“イメージとしてのガートルード・スタイン”に決してひけを取らない、情熱と高い美意識を持ち合わせた、けれどどちらかと言えば内向的で、内に秘めたる激しさは、したためられた堅い文章の中にときどき垣間見えるくらい……というふうに変わった。 エッセイの善し悪しは、テーマが何であれ、読者がそこで語られている内容に惹かれるか否か、“その先”に興味を持つか否かに拠るかな——と、これまた勝手に思っているのだが(本書はエッセイじゃなく回顧録ではあるけれど)、JUNKU堂のフランス文学の棚をチェックして、ルヴェルディやヴァレリーの著書を手にしてみたり、ジョイスはやっぱちくま文庫で読んどくかなんて思ったり、“動かす”力は持っている。読んで面白いかどうかは別として(笑) シルヴィア・ビーチ『シェイクスピア・アンド・カンパニィ書店』も併せて読むと、さらに面白いのかもしれない。
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