科学その歩み の商品レビュー
科学の歴史的性格について詳しく述べられている良著である. 内容は,今日までの人類史の歩みのなかで,科学が如何に成長し,展開してきたのかを技術的・思想的側面から論じるとともに,これが諸時代の産業や経済構造,社会や政治,更には人間そのものと,どう関わってきたかを明らかにするという...
科学の歴史的性格について詳しく述べられている良著である. 内容は,今日までの人類史の歩みのなかで,科学が如何に成長し,展開してきたのかを技術的・思想的側面から論じるとともに,これが諸時代の産業や経済構造,社会や政治,更には人間そのものと,どう関わってきたかを明らかにするというものだ. 構成としては概ね時系列順に,各分野(医学,天文学,化学等)ごとに話がまとめられており,読みやすい.ただし,自然科学に対する,ある程度の知識が要求される内容なので,この点は注意が必要であろう.私は,力学ではニュートン,電磁気学ではマクスウェルといった具合の,雑学的知識としての科学史は知っていたが,これらが,どのような歴史的な背景を有し,また,その後の歴史にどのような影響を及ぼしたかという,体系的な問題については,理解が非常に浅かった.読了後,こういった点に関しての理解を深められ,更に文科系の世界史の知識と,理科系の科学史の知識が自分の中で上手くリンクさせることが出来るようになり,大変に勉強になった.とても内容の濃い,有意義な一冊である.
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