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言壼 の商品レビュー

3.9

24件のお客様レビュー

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2013/09/23

その内に実現しそうな「ワーカム」を設定し、言語とは何か、思考とは、そして言語と人間の関係を問う作品。神林長平は、あたかも小説で試行するチョムスキーだ。また、ここではいくつもの文体上の実験も試みているが、それもSFの可能性を新たに拓いていくことになるだろう。言葉を用いて、言葉の本質...

その内に実現しそうな「ワーカム」を設定し、言語とは何か、思考とは、そして言語と人間の関係を問う作品。神林長平は、あたかも小説で試行するチョムスキーだ。また、ここではいくつもの文体上の実験も試みているが、それもSFの可能性を新たに拓いていくことになるだろう。言葉を用いて、言葉の本質を探る―その自己撞着を熟知しながらの試み。

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2021/06/24

期待に比べて、なんだか深みを感じられなかった。 哲学における言語論的な転回のようなことのSF的な先が見たかった。

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2013/05/16

彼は本当に言葉使い師であり続けようとしている。 そう感じた。 神林長平の短篇集。 言葉とコミュニケーションが彼の中に自分が言葉使い師である上で重要な問題なのだろう。 素敵な、雪風のフェアリィ星を彷彿とさせるような章名と 言葉が手段として生命としてある今の世界と違うたくさんの世...

彼は本当に言葉使い師であり続けようとしている。 そう感じた。 神林長平の短篇集。 言葉とコミュニケーションが彼の中に自分が言葉使い師である上で重要な問題なのだろう。 素敵な、雪風のフェアリィ星を彷彿とさせるような章名と 言葉が手段として生命としてある今の世界と違うたくさんの世界を描いた物語たち。 言葉は力を持ち、力を与え、力を削がれ、人間をよく見てきた。 初めの章の ワーカム(文章執筆支援ソフト)の危機は既に迫っている。 その時に私たちを襲うのはなにものだろうか。誰の意志なんだろうか。 この本を読んでない人がいたら無言で私は差し出したいくらい。

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2013/01/16

メチャクチャ面白かった。 『言葉』について書かれた短編集。なんというか、とても迫力のある小説でした。「言葉の力」はすごいなぁ、と思ってみたり。

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2013/01/02

「私を生んだのは姉だった」 この言葉から始まるのは、人と、機械と、言葉とそして世界の物語。叙述支援機能を持つワープロ、匂いで構築される物語、言葉を育てるポットなど、読者を想像のさらに向こうへと連れていくその筆力と発想は、「言葉使い師」神林長平のまさに真骨頂だと思います。おすすめで...

「私を生んだのは姉だった」 この言葉から始まるのは、人と、機械と、言葉とそして世界の物語。叙述支援機能を持つワープロ、匂いで構築される物語、言葉を育てるポットなど、読者を想像のさらに向こうへと連れていくその筆力と発想は、「言葉使い師」神林長平のまさに真骨頂だと思います。おすすめです。

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2012/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私を生んだのは姉だった。 この言葉から始まる、最初の収録話「綺文」で何処か新しい世界に連れて行ってもらえるような予感を感じた。 結果として、難しくてよくわからなかったというのが正直なところ。 ただ、物語の流れに沿いながら、初めて言葉に対して考える機会を持つことが出来た。

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2012/08/16

ワーカムという、人工知能に近い言語に特化したワープロを軸にしたSF短編集。 機械学習の権化のような端末が人々に与える影響から、普段は気づかない「言葉」というものの強さ、恐ろしさが垣間見える。円城塔さんの解説文まで、ワーカムのスタイルで統一されており、解説文も作品に取り込むこの本に...

ワーカムという、人工知能に近い言語に特化したワープロを軸にしたSF短編集。 機械学習の権化のような端末が人々に与える影響から、普段は気づかない「言葉」というものの強さ、恐ろしさが垣間見える。円城塔さんの解説文まで、ワーカムのスタイルで統一されており、解説文も作品に取り込むこの本には、魔力すら感じさせられる。

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2011/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

解説にもあるが、これが1994年に書かれたことを考えると、小説家の想像力の射程の長さには舌を巻くばかりである。 小説家の想像力の射程というアングルに限って言えば、「リトルピープルの時代」で宇野氏が、村上春樹のそれに触れている。 言壺の、神林氏の射程は近づく先から逃げて行くような、遠い遠い先を見据えているように感じられる。 人間と、その他の動物との生きる世界の違いを、言葉(と、それによって作られた想像上の社会)の有無という視点から、一刀両断している件が好き。 最後の「碑文」にある一人称「我」は、いつでも私たちの隙をつかんと覗いている。

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2011/08/07

これが「小説SF」(SF小説ではなく)の走りなのかな? 言葉の自己産出性に対する高いチュートリアル性。 自分でも何か書きたくなってくる気持ち。

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2011/08/02

1994年に単行本化されていたストーリーなのに2011年現在でも全く色褪せていないのは素晴らしい!「私を生んだのは姉だった」がこれ程深い展開になるとは。言葉と言うか言語をネタにここまで書けるのは神林ワールドしか無い気がします。雪風シリーズにも共通する部分がある気がします。

Posted byブクログ