空中楼閣を盗め！ の商品レビュー

ドナルド・E.ウェストレーク(著者),井上一夫(著者)

2016/03/01

❖城（隠し財宝）を盗むために集められた各国様々なクセのある悪党たち、彼らの多国籍一団を束ねての大強盗計画が画策される。物語はクライムコメディで、終盤奪った財宝を仲間（？）から横奪･･めまぐるしい争奪戦（ドタバタ劇）が繰りひろげられる。最後にだれが笑うのか？という懐かしいような騙し合いの展開に惹きこまれた。多量の笑いは映像的に映える場面であるように思う。冒頭に集められた登場人物たちのそれぞれに個性的な一面が紹介されるが、最後の大団円ではそれに応じたカーテンコールのような演出、読後感の小気味よさは格別であった。
後年、著者が脚本を手掛けた映画『グリフターズ』があるけれど、あの映画の冒頭、登場人物個々の行動が画面分割して紹介される（最後に一画面に収める）。めずらしいものではないけれど、本作の構成からそれらを連想した。