公共哲学 の商品レビュー
20 世紀後半のアメリカにおける政治哲学や倫理思想を、多角的に分析し論じている感じ。小難しい論議であるものの、例も多く比較的解かりやすく書かれているのではないか。 「市民は途方に暮れているように見える」のは日本も同じか?
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一般紙に掲載された短いエッセイの部分は読みやすい。 後半1/3は抽象的議論が続く政治哲学の論文の翻訳とあって、内容も日本語訳もやはり難解。読むのに前半2/3の3倍以上の時間がかかる。しかしその丁寧な議論と例示される具体例や参考文献の助けもあり内容は濃く、読むのに値する。
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訳:鬼澤忍、原書名:PUBLIC PHILOSOPHY:Essays on Morality in Politics(Sandel,Michael J.)
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一般人には難易度が高い公共哲学の小論集 この本は過去にサンデルが雑誌などに寄稿したりした小論をまとめたものになっている。 白熱教室で興味を持ち,片っ端からサンデルに関する本を読んでいる中で読んだ一冊。『これからの「正義」の話をしよう』,「それをお金で買いますか」,「サンデルの政...
一般人には難易度が高い公共哲学の小論集 この本は過去にサンデルが雑誌などに寄稿したりした小論をまとめたものになっている。 白熱教室で興味を持ち,片っ端からサンデルに関する本を読んでいる中で読んだ一冊。『これからの「正義」の話をしよう』,「それをお金で買いますか」,「サンデルの政治哲学」を既に読んだが,これらの本と同じようなものをこの本に期待すると失敗する。 この本は小論だけあって,内容の難易度は高い。さらに,この本はただ翻訳しただけで,訳者の解説などは一切ないので,公共哲学に関する予備知識がないと理解するのが難しい場面が多々ある。 前述の書籍では,一般読者を想定しておりサンデルや小林正弥による詳しい解説や比較的わかりやすくて易しい議論がなされており,公共哲学に関する知識が少なくても比較的読んで理解できる。しかし,この本ではそうした一般読者を想定した解説が少なく,深い内容を議論している箇所も一部あり読むのが難しかった。特に最初の100ページくらいである第一部では,過去100年くらいのアメリカ政治における政治哲学の流れについてひたすら展開されており,読んでいてつまらなかった。 書かれている内容が小論なのもあり,各テーマでの議論は浅いままで終わっている印象をもった。個人的にはこの本はおすすめしない。 サンデルの考えやコミュニタリアンの正義論について知りたければ,「サンデルの政治哲学」がおそらくサンデル関係の書籍ではベストだし,過去のサンデルの書籍全てに言及しているだけあって,この書籍で書かれていた小論のテーマもほぼ触れられていたと思う。 自由原理主義・市場主義の批判に対しては,「それをお金で買いますか」でわかりやすくてより深い議論がなされている。 それ以外の議論については,「これからの正義」で概ね扱われている。 一部,他の本でほぼ触れられていない内容)刑事裁判で被害者の陳述を許可するかどうかの議論)もあるにはあるが,別にそこまで深く取り扱われていないし,そのためだけに読むのはもったいない。 公共哲学について勉強してる人か,サンデルのことがよほど好きな人でない限り,この本を読む必要はないだろうと思った。素直に,一般向けに書かれた他のサンデルの本にあたることを強く勧める。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
道徳や宗教を徹底的に締め出したが故に、幻滅を呼び起こし、それが、公共問題の道徳的側面を扱わず、公務員の個人的な悪行に注意が集中するようになる。このようにして、政治論議がスキャンダラスでセンセーショナルで懺悔的なテーマになってしまう。日頃のくだらない政治家のスキャンダルはこのように生じて行ったというのが衝撃的だった。 また、ハンナ・アーレントが述べた「大衆社会の存立がこれほど難しいのは、そこに含まれる人びとの数が多いからではない。あるいは少なくとも、それが主要な要因ではない。人びとのあいだを埋める世界が、彼らをまとめ、結びつけ、また引き離す力を失ってしまったという事実が原因なのだ」というのは、サンデル教授が述べたとおり的を射ていると思った。これが、衆愚政治であったり、全体主義につながっていってしまう。今日の日本政治がダメな原因の一つなのではないだろうか。 『これからの「正義」の話をしよう』と『それをお金で買いますか』の元の作品になっている論文集なので、重複した記述や回りくどい言い回しなど、洗練さにかけていた。
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とても読み易い本です。 マイケルサンデル先生の白熱の議論を総括した内容となっています。 一章一章がとても短く、話がうまくまとまっています。
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タイトルから想像してたのとちょっと違った。 というのはもっと漠然としたものだと思ってたら歴史とか判例とか使って哲学というより社会科学みたいだったから。 同性愛とか人工中絶が犯罪とみなされてたのが、それも選択とか、プライバシー権だとみなされるようになった経緯だとか、 宝くじはギャン...
タイトルから想像してたのとちょっと違った。 というのはもっと漠然としたものだと思ってたら歴史とか判例とか使って哲学というより社会科学みたいだったから。 同性愛とか人工中絶が犯罪とみなされてたのが、それも選択とか、プライバシー権だとみなされるようになった経緯だとか、 宝くじはギャンブルなのに州が推進する矛盾だとか、ブルーカラーに売れるとかその広告だとか、興味深いことはいっぱい書いてあったけど欲を言えばもう少し著者の主観が聞いてみたかったかも。
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難しいかもしれないけど『これからの正義の話しをしよう』の10倍おもしろい。「道徳の話をカッコでくくって」議論する風潮への批判は、今の(特に大震災後の)日本にも十分当てはまるかも。
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第2部「道徳と政治の議論」は軽めのエッセイ集で、楽しめるし、アメリカとの比較で日本のことを考えるヒントにもなる。 第3部はなかなか難解、なかでも28章「政治的リベラリズム」は著者の見解の中核と思われる部分であり、読むのに非常に骨が折れた。
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このサンデルという人、昨年NHK教育テレビで放送されて話題になったとか。見てなかったし、全く知らなかった。 最初一般的な倫理学を扱っているのかと思ったら、著者は政治哲学が専門なので、アメリカの政治状況が詳しく書かれている(第1部)。 第2部では宝くじ、幇助自殺、妊娠中絶、同性愛と...
このサンデルという人、昨年NHK教育テレビで放送されて話題になったとか。見てなかったし、全く知らなかった。 最初一般的な倫理学を扱っているのかと思ったら、著者は政治哲学が専門なので、アメリカの政治状況が詳しく書かれている(第1部)。 第2部では宝くじ、幇助自殺、妊娠中絶、同性愛といったテーマを次々に扱っていき、ここが一番興味深かったが、どれもごく短い文章で、著者の独自の考えはあまりストレートに伝わってこなかった。 第3部でロールズが重点的に扱われる。 ベンサム、ミルのような功利主義的考え方(最大多数の最大幸福など)がアメリカ人の根本にあるように思うが、ロールズはそこに登場し、個人の「権利」を重視する新たなリベラリズムを主唱し、アメリカ社会に多大な影響を及ぼしたらしい。というわけで、ロールズ、偉いらしい。 ロールズについては『公正としての正義』という、日本オリジナルの論文集を読んだきりだが、『正義論』も今度読んでおこう。 この本は総じて、期待したほどの内容ではなかったが、冒頭の部分に最も刺激を受けた。 <政治が国民の人格を形成したり、美徳を涵養したりしようとするのは間違っている。そんなことをすれば「道徳を法制化する」ことになりかねないからだ。政府は、政策や法律を通じて、中立的な権利の枠組みを定め、その内部で人びとが自分自身の価値観や目的を選べるようにすべきなのだ。>(p.21) このような考え方が、日本人には欠けている。要するに個人を尊重しないので、リベラリズムが存在しない。いつまでも穏健、保守的な共和主義思想のような感じ。 かくして日本では、「国旗・国家」の「強制」とか「道徳教育の推進」などという馬鹿げたことがまかりとおっているわけだ。この空気は「帝国」時代から変わっていない。
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