入門メルツァーの精神分析論考 フロイト・クライン・ビオンからの系譜 の商品レビュー
まだKleinianの頃の初期Meltzerから、Bion同様に根本的離反を示した後期Meltzerまでを網羅する。前期に偏りはあるが、KleinやFreudとの繋がりの中で理解できる点はよいと思う。審美的次元の導入や、PsとDの順序入れ替えなど、KleinianからMeltze...
まだKleinianの頃の初期Meltzerから、Bion同様に根本的離反を示した後期Meltzerまでを網羅する。前期に偏りはあるが、KleinやFreudとの繋がりの中で理解できる点はよいと思う。審美的次元の導入や、PsとDの順序入れ替えなど、KleinianからMeltzerianへの転回が知りたかったのでやや残念ではある。付着同一化や侵入同一化、内的世界・外的世界・生活世界など、後期Heideggerや後期Wittgensteinを射程にいれて説明している。哲学の概念説明などは不十分で深みに欠けるが、このレベルの書籍の読者には十分。
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ドナルド・メルツァーの入門書。メルツァーの各理論(書籍)について、コンパクトにまとめられている(100頁弱)。文章がわかりやすく、ところどころ図表が挿入されているため、理解しやすい。そのため、メルツァーの理論への導入としては優れているのではないか。 メルツァーは精神分析をAR...
ドナルド・メルツァーの入門書。メルツァーの各理論(書籍)について、コンパクトにまとめられている(100頁弱)。文章がわかりやすく、ところどころ図表が挿入されているため、理解しやすい。そのため、メルツァーの理論への導入としては優れているのではないか。 メルツァーは精神分析をARTと表現(断言?)している。もちろん、それは科学を否定することを意味しない。メルツァーは審美的葛藤、つまり、人生の美や、人生の一部である曖昧さや苦痛を享受することの重要性を説いている。 言ってしまえば、世界は曖昧そのものである。そんな世界の曖昧さにもちこたえることが、臨床家として求められている素養なのかもしれない、ということが、本書を通して私が最も強く感じたところである。
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