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野口久光シネマ・グラフィックス の商品レビュー

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2011/10/02

「野口久光を愛するか否かでそ奴の映画通が判る。あの絵、あのデザイン・・・、想い出と共に唯涙々々」 と、わが溺愛する革命的唯我独尊落語家・立川談志はおっしゃっておりますが、私は幸か不幸か、愛しているなどとは恐れ多くももったいなくも、そんな大それた思いを抱くわけではありませんが、そ...

「野口久光を愛するか否かでそ奴の映画通が判る。あの絵、あのデザイン・・・、想い出と共に唯涙々々」 と、わが溺愛する革命的唯我独尊落語家・立川談志はおっしゃっておりますが、私は幸か不幸か、愛しているなどとは恐れ多くももったいなくも、そんな大それた思いを抱くわけではありませんが、その薫陶を少なからず受けた者であります。 映画だけでなくジャズやミュージカルの豊饒なエッセンスを、ささっ、遠慮しないでググッとやりなさい、まだ夜はたっぷりと長いんだから、なんてふうにやさしい甘い言葉でどれだけ夜通し誘惑されたかわかりません。 この本は、グラフィックデザイナーやポスターデザイナーだった彼の仕事を一望できるもので、今では雲散霧消してしまって跡形もありませんが、実はかつて私は映画ポスターマニアだったことがあり、この本を開くと、たちまちかつての熱意が甦ってきそうで、ブルッと震えが来たくらいです。 往年の名作「第三の男」「制服の処女」や表紙の「大人は判ってくれない」などのポスターをひと目見ただけで、その映画の幾つもの印象的なシーンが次々と浮かんできて、胸がキュンとしてきます。

Posted byブクログ