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神の科学 科学的神学入門 の商品レビュー

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2009/10/04

著者は歴史神学者として、またキリスト教的霊性やキリスト教文学など幅広い分野で著名であるが、最も著者のオリジナリティーを発揮しているのが、科学と神学との境界領域の仕事である。この著作は、彼のオリジナルな仕事として注目すべき『科学的神学』(全3巻)の縮刷版である。今日の人文社会諸学が...

著者は歴史神学者として、またキリスト教的霊性やキリスト教文学など幅広い分野で著名であるが、最も著者のオリジナリティーを発揮しているのが、科学と神学との境界領域の仕事である。この著作は、彼のオリジナルな仕事として注目すべき『科学的神学』(全3巻)の縮刷版である。今日の人文社会諸学がポストモダンの価値相対主義に大きく影響を受けている中で、マクグラスは「実在信仰」に基づいて学問するところの自然科学に意義を認めている。実在の多様な側面を認めるところは、イギリスの哲学者ロイ・バスカーに拠っているが、これはオランダキリスト教哲学のドーイウェールトの議論にも通じる。この実在はしかし、「近似的」にしか捉えることができないとして、それを「批判的実在論」と名付ける。これは理論的思考(教理など)を限界付けることにも繋がる。このマクグラスの科学的神学には実存の余地が無いという批判もあり得ようが、その点で神学の役割を自己限定し、実存の場を確保している、と見なすこともできるだろう。とまれ、ハードサイエンスに関心を持つキリスト者が神学にアプローチする一つのきっかけになることを願っている。

Posted byブクログ